世の中は平等にできていません。富める家で生まれたか、貧しい家で生まれたか、男女の違い、学歴、職業、障害の有無。これらの違いは人生に多大な影響を及ぼし、その違いによって人生における苦労や努力の度合いといったものも、おのずと違ってくるというのが現実です。ですが、この世に生を受けた誰しもが、社会で幸せを実感できる機会を、より多くつくることが政治の永遠のテーマだと考えています。そのようなことから、私は人がいたわり合い、共に生きる「共生社会」の実現を目指し、議会で多くの提言をしてきました。
たとえば、障害のある方、妊産婦など、一般の駐車区画では乗降が困難な方や歩行が困難な方のために設けられた「障害者等用駐車場」。公共施設やショッピングセンターなど多くの人が利用する施設の駐車場に設置されていますが、この駐車場に車を停める方々の約80%が健常者というのを、皆様も日常よくご覧になられていることでしょう。これについては、この駐車場を本当に必要としている方が利用しやすい環境を整備するため、障害者、高齢者、難病患者、妊産婦など移動に配慮を要する方々からの申請に基づき、当該駐車場を利用する際の、県内共通の利用証を交付する制度(パーキング・パーミット制度)の導入を議会で提言しています。
また、がんや事故により消化器や尿管が損なわれたため、手術でおなかなどに便や尿を排泄するための出口となる、人口肛門・人口膀胱などにストーマ(この出口又は装置をストーマと言います)を装着した方々、オストメイトの皆様のために、ストーマが洗浄できる流しなど、いくつかの機能と設備が調った「多目的トイレ」の普及や、災害時でもオストメイトが困らないように、ストーマ装具を避難所にあらかじめ保管できるようにすること等も議会で提言しています。
私が、これらのことを提言する上で、もうひとつやらなければならないことがあります。それはオストメイトもそうですが、内部障害者や難病患者など、配慮が必要な方々が、社会生活をおくる際に、外見からはわからないため、たとえば「障害者等用駐車場」や「多目的トイレ」を利用するのに、「なぜ、あなたが利用するの」という冷たい視線を向けられたり、時には非難の言葉を浴びるというような、辛い経験をさせないことです。
兵庫県には「譲りあい感謝マーク」というものがあり、外見からはわからない配慮を必要とする方々が、譲りあい感謝マークのピンバッチやキーホルダーを身につけ、県民はそのような方々を理解し、応援する環境をつくろうとしています。私は千葉県でも「譲りあい感謝マーク」を普及しようと考えています。
平成28年7月24日 野田たけひこ