主権者教育の充実

 4年前の県議選は東日本大震災の直後で、選挙なんかやっている場合ではないという雰囲気の中で実施されました。それでも投票率は40.04%でした。今年の4月に実施された県議選の投票率は37.01%、全国平均の45.05%を大きく下回り全国最低の投票率でした。議会や議員の発信力不足、争点や判断基準が不明確、県の行政そのものが身近なものに感じられないなど理由は様々でしょうが、低投票率は、住民の意見の代弁者を選ぶ間接民主主義にとって好ましくないことは確かです。

 さて、今年の6月19日に選挙制度が改正され、これまでは20歳から投票権が付与されていたものが、その年齢が引き下げられて20歳から投票できるようになります。またこれにより、投票の呼びかけや選挙運動に参加するのも20歳からできるようにもなります。法の施行は来年の6月19日からで、その日から全国で約240万人の有権者が増えることになります。法改正の利点として、世界の約9割が18歳から選挙権が付与されていることから国際標準になることや、投票率の高い高齢者向けの政治が先行し、若者向けの政治が遅れがちとの懸念を払拭できるなどの理由が挙げられています。しかし欠点としては、高校在学中や高校を卒業したばかりの若者は、当然ながら社会経験が乏しく、税金、行政の仕事、様々な制度などへの知識も乏しいため、投票するための政治判断が妥当なものかということや、若者の政治への関心が低く、投票に行かないのではないかといわれています。

 18歳から選挙権が付与されているドイツやイギリスでは、教育現場で政治的中立性を保ちながら子どもたちが社会の一員との自覚を持ち、的確に政治判断できることを目的にした「主権者教育」が行われています。日本でも文部科学省がいうには「主権者教育」をしているとのことです。しかし若者の数人に話を聞いたところ、そのような教育を受けた記憶はないとのことで、「主権者教育」のカリキュラムが充実したものではないといえそうです。

 18歳から選挙権を付与するのであれば、「主権者教育」の充実は不可欠です。私は「主権者教育」の充実を図り、千葉市が今年の4月から実験的に実施した、ショッピングセンターなどに期日前投票所を設けるという有権者の利便性を考えて投票所を増やすということも、併せて提唱していきたいと考えています。