基本的に国民は全て40歳から介護保険に加入し、介護保険料を支払うこととなります。そして介護サービスを受けるためには、要支援・要介護認定を受ける必要がありますが、基本的には65歳以上から利用することができます。
しかしながら、いざ介護サービスを受けようとした際に、長年にわたり支払ってきた介護保険料に見合うサービスが受けられないとしたら、これは問題です。そうならないようにするために、私は現在、介護に係る様々な改革を県に提言しています。
喫緊の課題は介護人材の確保です。厚生労働省が平成30年に公表した試算によると、令和7年度時点で必要な介護職員数に対し、千葉県が確保できる介護職員の見込み割合(充足率)は74・1%で、約2万8千人の介護職員が不足する見込です。また、この充足率は全国47都道府県の中で福島県と並んで最も低い水準となっています。
また、厚生労働省が平成24年に実施した「介護労働実態調査」によりますと、介護職員の離職率も全国平均が17・0%であるのに対し、千葉県は18・5%で、全国平均より高い離職率です。介護人材を安定的に確保していくためには、離職率も下げなければなりません。
平成30年に行われたUAゼンセン日本介護クラフトユニオンの調査によりますと、介護職員が離職を考える理由の第1位は「上司や利用者・家族のハラスメント」であり、その割合は93・2%となっています。また、職場で何らかのハラスメントを受けたと回答した人の割合も全体の7割を超えています。ハラスメントは離職に直結しやすいやめ、早急に対策を講じる必要があります。その一環として、介護サービスの利用者とその家族へのハラスメント防止に関する啓発活動に力を注ぐべきです。
千葉市では、具体的な例を挙げて介護職員等への身体的暴力、精神的暴力、セクハラなど、どのような行為がハラスメントに該当するのかを紹介し、千葉市におけるハラスメントの実態等が掲載したリーフレットを、介護サービスの利用者とその家族に配布しています。これにより、介護職員等へのハラスメントが行われた場合には、介護サービスの提供が難しくなると注意喚起しています。
県議会では、6月の定例会において会派の代表質問や健康福祉常任委員会においても、千葉市の介護現場におけるハラスメント対策の取組を例示し、県全体でも同様のリーフレットを配布する等の提言をしました。
それに対し、県は今後も介護サービスの利用者とその家族へのハラスメント防止に関する啓発に力を入れる方針であると答弁しています。
2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、高齢化社会が本格化します。若年層が介護職に就くことが求められる中で、世代間の価値観やコミュニケーションスタイルの違いから、意見の対立や不和が生じることが考えられます。高齢者も若年層も価値観の多様性を尊重し、互いに受け入れ、対等な関係を築くことが重要です。介護職員の離職率を下げ、安心して介護を受けられるようこれからも提言をしてまいります。