住宅被害に係る支援について ーブルーシートによる応急処置ー

 台風15号及び台風19号による住宅被害は、一部損壊だけでも6万1千棟を超え、住宅の応急処置のために大量のブルーシートが必要となりました。台風15号襲来後、県は国の援助分を含む20万枚以上のブルーシートを被災地に配布しましたが、台風19号襲来により、損傷・飛散し、またあらたに県内市町村から約5万枚もの配布要請がありました。しかし、県には約2万8千枚程度の備蓄しかなく、その要請に応えられませんでした。そして専門家によれば、高規格のブルーシートを熟練した職人が張ったとしても、その耐久性は3~6カ月程度とのことですので、ようやく建築業者の都合がつき、住宅の修繕が本格的に終わるまでの間(屋根瓦などの本修理まで数年かかる家もあるそうです。)には、数回の張り直しが必要となります。災害に備えておくためにも大量のブルーシートを備蓄するよう、県に提言する所存です。
また、ブルーシートによる住宅の応急処置には多くの課題があります。屋根等の応急処置については「自助」が原則であるとし、行政やボランティアが係る作業をすることは、高齢者や障がい者の世帯に限定していますので、一般世帯は有償で係る作業を建築業者や職人等に依頼することになります。しかし、建築業者や職人等の絶対数が不足しており、屋根の修繕は無論のこと、ブルーシートによる応急処置も、かなり長いこと待たなければならないという状態です。そのため業者等に頼らず、自らこの作業をしようとして、屋根から落下したという事故が多数報告されています。
 屋根等の高所での作業では、風に煽られたり、瓦のない部分を踏み抜いたり等の危険を伴う作業です。NPО法人「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク」によると、専門的にブルーシートを張れる人材は一部のNPО法人以外に殆どいないそうです。台風15号襲来後、ブルーシート張りの作業にあたる自衛隊員は、このNPО法人から地下足袋の着用の必要性や屋根での作業についての専門知識の講習を受け、作業に臨んだそうです。
 今後とも膨大な数のブルーシートと、その作業に携わる多数の人材が必要となります。私は、ブルーシートによる住宅の応急処置ができる人材の養成について提言し、県主催による消防職団員やボランティアを希望する建築業者等を対象とした講習会が開かれることになりました。これによって作業にあたる人材を養成することができるようになりました。
作業にあたる人材がいなかったために、台風19号襲来直前の10月7日、県内で689棟の一般世帯の住宅にブルーシートが未設置という状況となりました。私は、高齢者や障がい者の世帯に限定するだけではなく、一般世帯にも、ブルーシートによる応急処置ができるようにする仕組みも構築する所存です。

令和元年12月15日       野田たけひこ