子どもたちを性犯罪・性暴力から守る! その2

 令和3年度に性犯罪・性暴力によって懲戒処分等となった千葉県の教職員は7名でした。それが8月末現在、年度もまだ半ばにもかかわらず、すでに8名が懲戒処分となる極めて深刻な事態です。

 令和3年、教育職員免許法に特例が設けられ「わいせつ行為で懲戒免職となった教員への免許の再交付について、都道府県教育委員会が可否を判断できる」ようになりました。しかしながら、この法の特例は教職員免許が必要となる学校等に限られたものとなるため、性犯罪歴があっても予備校、学習塾等の講師になることは可能です。

 今月5日、こども家庭庁の有識者会議は、子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないことを確認する新たな仕組み「日本版DBS」に係る報告書案を公表しました。

 政府は、この報告書案の意見も踏まえ、制度化に向けた検討を進め、次の臨時国会で法案提出を目指す方針ですが、すでにいくつかの問題点が指摘されています。

 まず、この制度でいうところの「性犯罪歴」についてですが、これは起訴された犯罪であることに限られ、示談、不起訴となったものや行政の懲戒処分、民間の解雇処分等は、この制度の対象となりません。

 ちなみに、強制わいせつの示談成立率は50%近くです。そして、この示談成立事案の半数以上が告訴取消しで不起訴となっています。つまり多くの性犯罪者の犯歴が記録されず、子どもに接することが可能となっています。

 また、日本版DBSでは性犯罪歴の確認を義務付けるのは学校や保育所のほかに、認定こども園や児童養護施設、障害児入所施設などで、塾やスポーツクラブ、認可外保育施設、放課後児童クラブ(学童保育)、俳優や歌手を養成する専門学校などは義務付けの対象外とし、自主的に確認を行った事業者を認定する制度を設けるとのことです。

 そして、5〜10年で「性犯罪歴」の記録を消去する方針です。これは刑法の「刑を終えて10年が経てば、刑が消滅する」という考え方との整合性からだとのことです。

 しかしながら、整合性ならば刑法ではなく、教育職員免許法の教職員の「わいせつ行為」が40年間記録されていることとの整合性を図るべきではないでしょうか。

 厚生労働省が主導すべき、小児性愛や性依存症の治療、研究、対策等は進んでおらず、法務省が主導し、性犯罪者に義務付けている「性犯罪再犯防止プログラム」も効果を発揮しているとは思えません。

 これは「犯罪白書」の、小児わいせつ事件を起こした者の8割以上が同じ犯罪を繰り返す「再犯者」となるとの記述からも明らかです。

 私は、性犯罪再犯防止への取り組みが不十分である以上、性犯罪者の人権よりも、子どもから性犯罪者を遠ざけることを最優先すべです。