幸せとは?

 2016年度「世界幸福度報告書」、これは国連が世界175か国を対象に行ったアンケート調査で、調査対象者に対して、
①一人当たりの国内総生産
②社会的支援(社会福祉、困難な時に助けてくれる人がいるか)
③健康寿命
④社会的自由(人生の選択肢が幅広い)
⑤社会の寛容さ
⑥汚職のなさ
を10点満点で自己評価してもらうという測り方で、それを「幸福度」とし、国別に平均値を出し、順位付けしたものです。この「世界幸福度報告書」によれば、日本は53位でした。1位はデンマーク、2位はスイス、3位はアイスランド、アジアでは22位にシンガポール、33位にタイ、35位に台湾、47位にマレーシアが日本の上位にランクインしています。ご承知の通り、日本は世界一の長寿国でGDP(国内総生産)も世界3位、幸福を測る上で重要な尺度となる「健康」、「豊かさ」などでは世界の上位にランクインする国ですが、その割には「幸せ」を感じられないというのは④⑤が足を引っ張って50位台になってしまったようです。報告書では「より不平等が少ない国に暮らす人々の方が、より幸せであると感じる」ということも明らかにしています。あらゆる格差を少なくすることは政治の重要な仕事です。(ちなみに、日本の男女格差は世界144か国中111位です。)
 また、一方では厚生労働省の研究班が昨年行った、ダウン症(遺伝にかかわる染色体46本ではなく、1本多い47本。約800~1000人に1人の割合で生まれているとされ、多くの場合、知的な発達に遅れがあり、ゆっくりと成長する)の人たちを対象にした、初の大規模アンケートの結果が公表されました。それによりますと、
(1)「毎日幸せに思うことが多い?」
はい…71.4%
ほとんどそう…20.4% 
「はい」と「ほとんどそう思う」と答えた人を合わせると、90%以上。
(2)「仕事をしていて、満足な気持ちがありますか?」
はい…66.0%
ほとんどそう…21.7% 
こちらも、「はい」と「ほとんどそう思う」と答えた人はあわせて90%近くという結果でした。ホッとするような、心が温かくなるような、ダウン症の人たちが社会の一員でいることが、とても重要に思える良い結果だと思います。
「幸せ」とは何なのか。「幸福度」では53位の日本ですが、毎日幸せと感じるダウン症の人たちが90%以上いる共存の国日本。私の仕事は、日々の生活の中で、障害を持った人も持たない人も、今まで以上に幸せを感じられる社会をつくることだと、あらためて考えました。

平成28年10月30日     野田たけひこ