新年を迎え、能登半島地震により甚大な被害が発生しました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りしますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。また、その翌日のJAL機と海保機による衝突事故で犠牲になられた海保の方々のご冥福をお祈りいたします。そして、炎上するJAL機の乗客を、命を落とすことなく全員脱出させた乗務員の冷静で的確な判断と勇気ある行動に敬服いたしました。
さて、昨年の12月定例県議会の最終日に、私が選挙公約としていた「千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」が賛成多数により採択されました。採決にあたり、私が会派を代表して賛成討論をし、本県は、高齢者の介護に係る職員不足が深刻な状況である旨も、条例の制定理由の一つとして述べました。
県は介護職員不足の解消を目的に、令和元年度から外国人介護人材の就業促進等に総合的に取り組むため、「外国人介護職就業促進事業」を始めています。そして、県が実施している介護人材確保のための「千葉県留学生受入プログラム」を検証するため、知事や議会の有志が、昨年11月ベトナムの現地日本語学校を視察しています。
この介護分野における人材不足は、我が国に限ったことではありません。韓国も我が国同様にベトナムからの介護人材確保に力を入れている国ですが、韓国は我が国よりも好待遇で介護人材を受け入れていることや、韓流ブームにより、ベトナムの若者は我が国よりも韓国に興味を持っていること等により、この人材の争奪戦で、我が国は韓国に完全に後れを取っています。
香港と台湾は2025年に、シンガポールは2030年に超高齢社会を迎えると推計され、今、多くの国々が外国人材の受け入れに積極的です。今後、社会の維持や発展のために多くの国が、あらゆる分野における人材の争奪戦に参入してくることでしょう。
オーストラリアでは、優秀で思いやりと気遣いがあり、仕事にとても集中する日本人の介護人材の需要が高まっています。日本の介護職の平均月収が約25万円なのに対して、オーストラリアでは月80万円の所得を得ることも可能という好条件も、日本人の介護人材の流出に拍車をかけています。
介護分野において外国人労働者を確保するためには、資格の緩和、言語サポートやスキルを身につけるための教育プログラムの提供、働きやすい労働環境の整備、地域に定着させるためのサポート体制を整えるなど、彼らが十分なサポートを受けながら仕事に従事できる環境を整備することが重要です。
多様性の尊重に係る条例の趣旨にある「年齢、性別、障害の有無、国籍及び文化的背景、性的指向及び性自認など様々な違いを互いに尊重し、誰しもが生きがいを持って活躍できる社会を築く」ことは、この外国人材を受け入れる前提になるものでもあります。労働市場を柔軟にし、需要に応じて外国人介護労働者を採用できるようにし、あらゆる分野において人材不足に歯止めをかけなければなりません。
末筆ながら、今年もご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。