2050年には、世界の高齢者の人口が、子どもや若者(15~24歳)の人口よりも多くなるとも予測されており、少子高齢化は世界の課題となっています。先進国における高齢者の増加は顕著で、2060年には28・2%(世界平均17・8%)になると予測されています。
しかし、日本の高齢化率は既に2060年度の世界平均推計値を超えており、ハイスピードで高齢者の人口が増加しています。1950年時点では12・1人の生産年齢人口で1・0人の高齢者を支えていいましたが、2021年時点では2・1人。さらに2065年の予想人口比率では1・3人にまで減少し、おおよそ4人で3人を支える計算になります。そして実際には、高齢者だけでなく、14歳までの年少人口も支えなければなりません。
また、令和3年に報告された厚生労働省のデータによると、2021年の全国の平均初婚年齢は、男性は「31・0歳」、女性は「29・5歳」という結果でした。
そして、「結婚生活を送る上での不安要素」では、経済的に十分な生活ができるかどうかを心配する人々が、56・5%もいるとも報告されています。さらに、理想の数の子どもを持たない理由を尋ねると、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」との回答が最も多いそうです。経済的不安により、晩婚化や非婚化が進み、さらに出産をためらうと、ますます少子化は深刻な問題となります。
スウェーデンでは出生率が、1999年に1・5で最低となり、2010年には1・98と回復しています。これは、長期にわたって労働環境の整備を行ってきた他、出産・育児に対して経済的支援や両立支援に力を入れていることが大きいと考えられています。
【スウェーデンの取組】
◎就労における女性に対する差別の禁止(妊娠・出産を理由にする解雇の禁止、女性賃金の廃止)
◎両親休暇制度(世界初となる父母双方に対する育児休業制度)
◎時短勤務制度(子どもが8歳になるまで、労働時間を25%短縮することができる)
◎看護休暇制度(子ども1人あたり年間120日(後半60日間は条件有り)取得可能・生後8カ月から12歳になるまで取得でき、
休暇中は所得の80%の給付金を受け取れる。)
◎学校教育の無償化(3~5歳の就学前保育(1日3時間)、義務教育および高等教育(日本の小学校から高校)は
無償で教育を受けられる)
◎全ての子どもへの就学前の公的保育を保障(子ども達全員が公的保育を受ける権利があり、
親が失業中・育児休業中でも就学前保育を受けることができる)
◎家族の多様性を認める制度の充実(婚姻関係のない同棲カップルに対しても婚姻夫婦に準ずる権利を保障しており、
2012年には同性婚も可能に)
他にも様々な制度や権利が定められており、在職しながらも安心して出産・育児をまっとうできる社会が成立しています。
今、本気で未来を考えなくてはなりません。これからも、将来を担う子どもたちの未来が持続可能な未来となるために、あらゆる機会において提言してまいります。