10月25日の豪雨により、死者10名、行方不明者2名(10月30日の県の被害状況報告)を出すなど、千葉県はまた災害により甚大な被害を受けました。今回の豪雨では、県内9箇所で土砂崩れが起きました。死者10名のうち4名がこの土砂災害により犠牲になっています。
報道等でご承知の通り、千葉市緑区誉田町の現場(死者2名)は「土砂災害警戒区域」に指定されておらず、また千葉市緑区板倉町の現場(死者1名)と市原市の現場(死者1名)は、県が土砂災害の危険性を認識し、警戒区域の指定に向けて、作業を進めている最中のことでした。千葉県には約1万1千箇所以上もの土砂災害危険箇所があり、そのうち土砂災害警戒区域に指定された箇所の割合は、わずか約36%で、これは全国平均の約88%を大きく下回る全国最下位の数字です。
土砂災害防止法により都道府県は、おおむね5年ごとに土砂災害により被害を受けるおそれのある区域の地形、地質、土地利用状況について「基礎調査の実施」を行うことになっています。それにより「土砂災害警戒区域を指定」(市町村は指定を受けた区域の住民への情報伝達の方法策定などの「警戒避難体制」を構築する)。さらに「土砂災害特別警戒区域の指定」にあてはまる場合は、「建築物の構造規制」や「移転等の勧告」移転者に対して公的融資等により「移転支援」をすることとなっています。
これらの手順を踏まないと、土砂災害から県民の命と財産を守ることができません。私はかねてより、この手順の遅れに対し強い危機感を抱き、5年前にも一般質問でこの問題を取り上げました。その結果、「土砂災害警戒対策事業」の完成年度の一年前倒しや、事業に係る予算もほぼ倍増させることができました。また今年10月10日にも、知事に来年度予算に係る「予算・制度要望書」を手渡し、その中で「土砂災害危険箇所の基礎調査に基づく対策事業を早急に進めること」を求めたばかりです。
それらによって、県による基礎調査は急がれることになり、それはようやく約99%終わるという段階になりました。しかしながら、先程も触れたように、その後の手順である「区域指定」は全国最下位という状況です。来年度は、土砂災害危険箇所リストの見直し時期ですが、県には、リスト作成にあたり千葉市緑区誉田町の土砂崩れ現場のように漏れがないか慎重に確認するよう求める所存です。
私は悲劇を繰り返さないために、12月定例県議会においても、土砂災害対策事業を早急に進めるよう、県に強く求める所存です。
令和元年11月4日 野田たけひこ