災害時の行政手続きについて

皆様ご承知の通り、災害による建物の損壊は「災害対策基本法」に基づき、被災者の申請を受理した市町村が建物の損壊状況を現地調査で確認し、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」という判定をし、それぞれの首長が「罹災(りさい)証明書」を発行します。罹災証明書は、『被害のあった家屋や土地の固定資産税、国民健康保険料が一時的に減免または猶予される、また被災者生活再建支援金や義援金の支給を受ける、仮設住宅や公営住宅への入居が優先的に認められる、公的書類の手数料が無料になる、災害復興住宅融資が受けられる』など、被災者が公的支援を受ける際に必要なもので、災害からの復旧、復興には欠くことのできない書類です。
ところが今月13日、熊本地震の被災地では罹災証明書の申請件数が10万2千215件もあるのに対し、実際に発行できたのは3万226件で、申請件数の3割程度にしか発行できていないという報道がありました。特に益城町や南阿蘇村、西原村などの熊本県内の9市町村では約2万8千件の申請を受けましたが、各市町村の職員が余震への対応や避難所の運営などに追われ、証明書発行に係る現地調査ができなかったため、罹災証明書の発行数はゼロでした。被災者の生活再建を急がなければならないことから、国は5月中の発行を求めていましたが、他県から派遣された応援職員を市町村に割り振って対応しても、人手不足で残念ながら、その要請に応えられませんでした。また今は改善されましたが、当初、仮設トイレのし尿や生活ゴミ、大量に発生した廃棄物の収集、運搬、処理などの業務にも支障が出ました。災害に見舞われると多くの行政サービス、行政手続きが滞ります。それを最小限にするためには、県内市町村職員の相互派遣体制の構築、他県からの応援職員の配置などが必要とあります。私は6月9日の本会議において、登壇の機会を頂きましたので、千葉県が災害時に行政サービス、行政手続きが滞らない体制がつくれるのかどうかについても取り上げたいと考えています。

また熊本県では、熊本県行政書士会が罹災証明書の交付申請支援を無料で行っていますが、万が一の際には、千葉県でも同様に県の行政書士の先生方にご協力頂けるのかについても伺いたいと考えています。

平成28年5月29日    野田たけひこ