災害関連死をなくす!

 石川県は1月17日午前9時現在、能登半島地震による死者が、232人となり、そのうち災害関連死は14人、安否不明者は21人となったと発表しました。

 地震によるライフラインへの影響も長期化し、発災から2週間以上経過していますが、1月17日現在、停電は全戸数の2割、断水は約5万戸超、通信障害は、土砂崩れなどで侵入困難な地域を除き応急復旧している様ですが、いまだに不自由な生活を強いられています。

 特に、断水の長期化は避難生活の環境悪化を招き、避難所のトイレは水を流せず不衛生となり、トイレを我慢するため水分摂取をためらい、エコノミークラス症候群や感染症の広がり、持病の悪化なども懸念されます。

 千葉県君津市は令和元年の房総半島台風の際に、静岡県富士市から災害用トイレトレーラーの派遣を受け、助けられた経験があることから、その後、クラウドファンディングを活用しながら災害用トイレトレーラーを配備しました。能登半島地震においては石川県輪島市に、その車両を派遣し、「ちゃんとした洋式トイレ」は被災者に大歓迎されているそうです。

 災害による直接的な被害ではなく、避難者が長期にわたる不便な避難所生活を余儀なくされた結果、避難者に体力低下や持病悪化などの健康被害が生じ、脳卒中や心不全、肺塞栓症などを発症し、残念ながら亡くなってしまうという「災害関連死」が危惧されています。平成28年に発生した熊本地震においては、約80%が災害関連死でした。一度は助かった命です。避難所はできる限り快適であるべきで、災害関連死はあってはなりません。

 私はかねてより、「災害関連死」を無くすための取り組みとして、令和元年に、当時の森田健作知事に「予算・制度に対する要望書」を手渡し、その中で(一部抜粋)、以下のことを提言しています。

 

災害対策車両の体制強化

  • 被災者に温かい食事清潔なトイレを提供するため、キッチンカートイレ専用車両を導入すること。
  • 災害時に県が保有する給水車が有効活用されるよう、体制を再検討すること。
  • 電源車の配置等については関連機関との連携の在り方について再検討すること。

 

避難所QOL(クオリティ オブ ライフ)の向上

  • 災害関連死をなくすため、避難所の環境水準を定めた国際基準※ 「スフィア基準」を念頭に、避難所での暮らしの質を向上させること。

 

 温かい食事や清潔なトイレ等で避難生活の質を向上することは「災害関連死」をなくすことに繋がります。私はこれからも、インフラの耐震補強や、避難所のあり方について提言してまいります。

 

 ※スフィア基準 人間の生命維持に必要な水の供給量、食糧の栄養価、トイレの設置基準や男女別の必要数、避難所の一人当りの最小面積、保健サービスの概要などの詳細が定められており、避難所などの現場で参照される国際基準