若者の孤独・孤立の問題

 「孤独死」とは、法律上の定義はありませんが、監察医務院は『自殺や死因不詳などの異状死のうち自宅で死亡した1人暮らしの人』としています。

 孤独死をめぐっては高齢者が社会問題化していることから、私は令和4年2月定例県議会の一般質問で、高齢男性の孤独、孤立の問題を取り上げました。未婚率の増加や核家族化の進行により、高齢者の一人暮らしが増加しています。特に男性は女性に比べて近所付き合いや他人との関わり、地域活動と縁が薄いという状況であることから、高齢男性の社会参加や社会とのつながりを促すような取組を強化すべきであると、県に求めました。

 しかし、平成30年~令和2年の3年間に東京23区で「孤独死」した若者(10~30代)が、計742人確認され、うち約4割が死亡から発見までに4日以上を要していたという衝撃的な報道があり、独居高齢者らに限らず、若者にも孤独死のリスクが広がっている実態が浮き彫りになりました。

 65歳以上であれば、介護保険制度があるため、孤立をしていても地域からの接点がありますが、若者は義務教育である小・中学校までは公的にも地域的にも見守られます。しかし高校になると公的支援はあるものの、高校を中退した場合にはどこにもつながりがなくなってしまいます。社会経験が浅い若者は、次第に自分自身にも関心が無くなり、セルフネグレクト(自分自身の健康や安全に対する無頓着や無関心が原因で、自分自身を放置し自己管理ができなくなってしまう状態)に陥ってしまう可能性があるそうです。

 セルフネグレクトになってしまう原因として、かつては当たり前だった3世代同居が核家族の進行により、家庭内で培われていたコミュニケーション力などを学ぶ機会が減り対人関係が苦手になったり、ネット通販や音楽・動画配信などのサブスクリプションの多様化により、外出や人と接する機会が大幅に減少したりしたことなどがあげられます。全国の16歳以上の2万人に聞いた政府の実態調査では、「孤独感がある(たまにを含む)」と答えた人は39・3%に上り、最多は30代の46・1%です。(20代45・3%、40代42・5%、60代36・2%、70代30・5%)。現役世代の孤立感が強い傾向が出た結果となりました。そして非正規雇用の拡大などによる貧困も原因の一つです。

 高齢者、子育て世代のための様々な施策の充実が必要ですが、私は今、国、地方自治レベルにおいて、若者に焦点をあてた具体的な施策が少ないように感じています。そして、私は今後、将来を担う若者が、我が国の未来に明るい希望を持てるようにするために、もっと若者向けの施策についても提言していく所存です。