令和6年能登半島地震における道路の緊急復旧の状況についてですが、1月26日現在、地元の建設業協会や「一般社団法人 日本建設業連合会」の応援による24時間体制での緊急復旧作業によって、幹線道路は、ほぼ復旧したとのことです。これによって、孤立集落は実質的に解消しました。
しかしながら、これは幹線道路の緊急復旧に限っての話であって、この幹線道路につながる枝葉の道路等の本格的復旧には相当な時間がかかると予想されています。
また被災地となった能登地域は豪雪地帯です。今後、地震による道路の損壊や路面の積雪、凍結等により、家屋に近寄れず雪かきや雪下ろしができないことにより、家屋の倒壊も心配されています。それにより除雪車が通れないという事態がおこり得る可能性もあります。
私は、被災地の復旧・復興に「雪とのたたかい」も加わったことからも、復旧・復興の主役となる建設業界を被災地に重点的に配置するのが望ましいと考えています。
今、全国的に労務費や資材の高騰、技術者や作業員の不足によって、建設業界は公共工事の入札に参加できない、工事を請け負うことができないという「入札不調・入札不落」が続出しています。そのような中、大阪万博のために建築資材、建設重機、技術者、作業員を一極集中しなければならない現状は改めるべきです。そして、国は能登半島地震からの復旧・復興を最優先課題と位置づけるべきです。
私は大阪万博の開催に反対するものではありませんが、建設費が1,250億円から1,850億円、さらに2,350億円と増額し続け、運営費も809億円から1・4倍の1,160億円になる見込みとされ、この負担を補うために税金の投入がどんどんと増え続けるのではと危惧しています。
そして今、多くの方々からも大阪万博を延期、もしくは中止して、国は被災地対応に専念すべきだとの意見が出されています。
ところが大阪維新の会の馬場代表は「万博成功で北陸の人々に夢や希望を感じてもらい、ふるさとに戻ったときに生かしてもらうツールになると確信している。万博成功が震災復興や経済活性化につながることを信じて歩みを進めていきたい」と述べ、万博の延期・中止論を否定しています。
また、大阪府は日本初のカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備に向け、正式契約にあたる実施協定を事業者と結びました。予定地は大阪市の人工島・夢洲の万博会場隣接地で、万博が開幕する2025年春頃にカジノやホテルの建設を本格化させ、2030年秋頃の開業を目指しているそうです。大阪万博は手段に過ぎず、真の狙いはIR(カジノ)とも言われています。
はたして被災者の中に「万博をやってほしい、私たちの希望になる。」という人はどれだけいるでしょうか。北陸の人々に夢や希望を感じてもらう万博にするのであれば、被災者の対応を何より優先させ、被災地が復旧・復興した後の、北陸の人々が万博に来られる時期に開催すべきではないでしょうか。