地球を守る林業について

 我が国の国土の約67%を森林が占めています。これは、OECD(経済協力開発機構)加盟国のなかでは、フィンランド、スウェーデンに次いで第3位の森林率です。まさに我が国は「森の国」であると言えるでしょう。ちなみに千葉県は県土の28・8%が(令和3年調査)も森林です。

 近年、地球温暖化が深刻な問題となっています。温暖化には太陽からの熱を地球に閉じ込め、地表を温める作用をもつ「温室効果ガス」の増加が関係していますが、温室効果ガスの中でも、二酸化炭素の排出は地球温暖化に与える影響がもっとも大きいとされています。

 温暖化を防ぐには、太陽光などの自然エネルギーの活用を促進し、二酸化炭素の排出自体を削減することと、樹木は二酸化炭素を吸収して成長することから、森林の適正保全も地球温暖化防止のための重要なアプローチです。

 森林は、樹木が成長する過程で二酸化炭素を吸収することから「炭素の貯蔵庫」としての重要な役割を担っています。令和4年(2022年)、我が国の温室効果ガスの排出量は約11億3,500万トンで、このうちの9割以上が二酸化炭素でした。森林はその中の約5,020万トンの二酸化炭素を吸収しており、全体吸収量の9割以上は森林です。

 さらに、森林は土砂災害水害を防ぐなど、自然災害のリスク軽減の役割も担っています。

 こうした森林を守り育てるには、それを担う林業の働き手が必要です。しかしながら、林業就業者の数は年々減少しています。我が国の林業就業者数は、昭和55年(1980年)、約14万6千人でしたが、令和2年(2020年)には3分の1以下の約4万4千人にまで減少しています。

 同様に、千葉県における令和2年(2020年)の林業就業者総数は487人で、平成27年(2015年)より30名増加したものの、65歳以上の就業者は29名増加し、65歳以上のいわゆる高齢者が林業就業者総数に占める割合は27%です。これは、我が国の全産業平均(約15%)や、林業就業者(約25%)を上回る高齢化率です。

 林業の仕事は、チェーンソーのような重い機械を担ぎながら山の急斜面で作業をするなど、体力的にキツく、危険を伴います。そのうえ、給料が安いなどの理由により、若手人材が集まりにくい状況が続いています。今後は、待遇改善を含めた林業の魅力向上が求められます。

 また、気温上昇によって土壌や植生は乾燥し、林野火災がより大規模かつ頻発する環境になっています。今年2月26日に岩手県大船渡市で大規模な林野火災が発生しました。千葉県では、林野火災発生件数が、令和3年(2021年)全国1位、令和4年(2022年)には全国4位令和5年(2023年)には再び全国1位でした。この状況も改善しなければなりません。

 森林は、地球の未来と私たちの暮らしを支える大切な資源です。だからこそ、林業の担い手を育て、森林を守り育てていく取り組みが、今こそ必要です。