教員の長時間勤務の実態把握について

 先週お配りした「県政改革 教員不足について」では、「教員」が中高生の「なりたい職業ランキング」10年連続1位であるにもかかわらず、来春の千葉県教員採用試験の志願倍率が平成以降で最低だったことをご報告致しました。

 この背景には、教員を目指す若者が、長時間労働など過酷な労働環境を理由に、夢を諦めている現状があります。

 今年3月、県教育委員会は、昨年11月に実施した「令和6年度 教員等の出退勤時刻実態調査結果」の結果を公表しました。

 この調査結果によりますと、月当たり45時間以上80時間未満の時間外在校等時間(いわゆる残業)に該当する教諭の割合は、小学校35・1%、中学校46・0%、義務教育学校51・2%、高等学校20・8%、特別支援学校7・5%でした。教諭の全体の平均は31・9%で、前年の37・2%からは、若干改善されたと言えるでしょう。

 しかし、一般的に月当たり45時間超の残業」ブラック企業と見なされる可能性が高く、特に「月80時間超の残業」は過労死ラインとされています。つまり、千葉県の公立学校では3割以上の教員が、ほぼブラックの状態で働いているということです。

 調査方法についても課題があります。県立学校(高等学校、特別支援学校等)では、「ICカード式タイムレコーダ及び管理システムを活用して出退勤時刻を記録し、対象職員の当該月の時間外在校等時間を管理職が取りまとめて県教育委員会に報告する」となっています。しかし現場では、「定時退勤」と記録しつつ、実際は夜遅くまで働いている「ステルス残業」が常態化しているという声も聞かれます。残業手当が支給されないことが、その要因の一つとされています。

 また、市町村立の学校では、「各市町村教育委員会が管下の教職員の実態をそれぞれの方法で把握し、当該月の時間外在校等時間を取りまとめ、県教育委員会に報告する 」となっています。現在、県内の多くの市町村でICカード式タイムレコーダ及び管理システムが導入されていますが、いまだに「校長の客観的判断」や「パソコンの起動等の状態」、「教員本人の自己申告」によって、勤務実態を把握している市教育委員会もあります。こうしたバラつきは、県内で統一すべき課題です。

 まずは、教員の長時間労働などの実態を、より正確に把握することが重要です。そのためには、信頼性の高い出退勤記録の仕組みを全県的に整備し、調査の精度を向上させる必要があります。教育の質を守るためにも、教員の働く環境を整えることは喫緊の課題です。