先週お配りした県政改革は「働き方改革は喫緊の課題」でした。そこでお示ししたのは、昨年の内閣府の「少子化社会に関する国際意識調査」で、日本の20歳から49歳の男性の優先度の理想は、仕事(13.6%)、家庭生活(53.0%)、個人の生活(32.3%)であるのに対し、現実に優先されているのは仕事(51.8%)、家庭生活(34.8%)、個人の生活(12.2%)で、フランス、ドイツ、スウェーデンのそれと比べ、理想と現実に著しいギャップがあることでした。このギャップは、日本人が「生活に満足している」と回答した割合が、わずか18.7%であったのに対し、フランス、ドイツ、スウェーデンでは、いずれも40%前後であったことにも繋がっています。
今年の7月、世界経済フォーラムが世界各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数を発表しましたが、日本の順位は146カ国中116位で、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果でした。
昨年3月時点のOECD加盟34カ国の男女別・1日当たりの仕事や通勤・通学等の有償労働時間と、家事、子育て、介護等の無償労働時間についての調査では、日本の男性の有償労働時間は452分(ダントツの1位)、女性は272分(スエーデンに次いで2位)と、男女とも先進国の中でも際立って長い有償労働時間となっています。家事、子育て、介護等の無償労働時間については、女性はOECD加盟国の中では平均的な長さの224分ですが、男性はOECD平均136分前後に対し、わずか41分しかありません。どの国でも家事・育児に携わる時間は女性の方が多いものの、その差は2倍前後ですが、日本では5倍以上の差となっています。しかし、日本の男性は家事をしなさすぎるのではなく、長時間労働の結果、家事や育児ができる時間が少なくなっているということだと思います。
また、すべての男性が家事・育児に参加していないというわけではなく、厚生労働省が発表した「育児休業取得率に推移」では、女性は80%台で推移していますが、男性は1%にも満たなかった20年前と比較すると、2019年には7.48%と上昇傾向にあります。さらに、2018年にNHKが行った「第10回日本人意識調査」によると、「夫婦はお互いに助けあうべきものだから、夫が台所の手伝いや子どものおもりをするのは当然だ」という問いに対し、調査開始の1973年から増加し続け、約9割の国民が「賛成」と答えています。「男性は仕事、女性は家庭」といったこれまでの古い価値観は、確実に変わり始めているのではないでしょうか。
そして、2021年に改正され、2022年4月から段階的に施行される厚生労働省の「育児・介護休業法」では、企業に「育児休業を申請しやすくするための雇用環境整備」や、「妊娠・出産する予定を申し出た従業員への個別周知・意向確認」の措置が義務付けられました。また、『男性版産休』ともいわれる「出生時育児休業制度」が創設され、業務と育児休業の調整がしやすくなるよう、現行の育児休業の分割取得・夫婦間での交代取得も可能となります。
男女共同参画を進め、日本の男女格差を縮めるために、そして日本人が生活に満足感を得るためにも、働き方を変えていく必要があります。