「休み方改革」について

 2019年4月1日から「長時間労働の解消」「正規社員と非正規社員の格差是正」「高齢者の雇用促進等、柔軟な働き方の推進」を目的とする「働き方改革関連法」が順次、施行されています。

 なぜ「働き方改革」が必要かについてですが、少子高齢化の進展は、15歳から65歳未満の、いわゆる生産年齢人口の減少と、国内市場の縮小をもたらします。労働力不足の解消のために、女性や高齢者等にも、積極的に労働市場に参入してもらいたいという国の考えが、その理由の一つです。またIT技術の進展により、テレワークが可能になる等、多種多様な働き方に対応することも必要です。

 私は「働き方改革」と表裏一体の「休み方改革」を着実に進めることも重要であると考えています。

 厚労省の2019年の「就労条件総合調査」によると、我が国の労働者の有給休暇平均取得日数は9.4日、有給休暇取得率は52.4%です。そして、休暇の取得日数も取得率も、OECD加盟諸国の中で長年、最下位となっています。

 ドイツでは、有給休暇平均取得日数は、日本の約3倍の30.9日で、有給休暇取得率は、ほぼ100%です。ドイツの連邦休暇法では「雇用者は週6日フルタイムで働く労働者に最低24日間(週5日の場合は年間20日)の有給休暇を与える義務がある」と定めています。

 日本でも、労働者の年次有給休暇に関する規定を定めた労働基準法第39条には「労働者の雇入れ日から6か月継続し、全労働日の8割以上の日数に出勤した場合は必ず10日間の有給休暇を付与しなければならない」とあり、さらに休み方改革促進に向けて、「キッズウィーク」「有給休暇義務化」「仕事休もっ化計画・プラスワン休暇」等を講じていますが、あまり周知されていないのが現状です。

 休暇申請をしたくても、「人手不足で、自分が休むと誰かに迷惑をかける」という思いや、長期休暇などは、職場の規則で認められていても、取得するには、それ相応の理由と覚悟が必要で、「休むこと」に罪悪感を持ちがちです。

 ドイツのように、仕事から完全に解放され、リフレッシュするための時間の休暇を普通に取得できるには、「働き方」「休み方」の両面から働く人のワークライフバランスを見直し、仕事をチーム内で情報共有し、誰かが長期間の休みを取っても仕事を回していける職場環境を構築することが必要です。

 夜遅くまで仕事をし、家族との団欒の時間をじゅうぶんに持てない。これでは心身ともに疲れ果てて、労働生産性も上がらないし、そもそも不幸ではないでしょうか。

 休む時はしっかり休み、働くときは効率よく働く。オンとオフを切り替えて、短い労働時間でも高い生産性をあげるためには、まずは、休暇を取得しやすい環境を整え、それを許容する社会社会にしなければなりません。