平成26年に国で「まち・ひと・しごと創生法」が成立したのを受け、千葉県もその翌年に県の人口の現状と将来展望を示す「千葉県人口ビジョン」と、その後の5年間の目標や施策の方針をまとめた「千葉県地方創生『総合戦略』」を策定しました。
まず、「千葉県人口ビジョン」について、日本の人口は平成20年をピークに減少局面に突入しています。千葉県の総人口は平成22年(2010年)の約620万人から50年後の2060年には30.3%減少し、約433万人となり、また生産年齢人口(国内の生産活動に就いている中核の労働力となるような年齢の人口、日本では15歳~64歳)は45.2%減少し、約222万人になると推定しています。
高齢化については、千葉県の65歳以上人口の増加率は埼玉県に次いで全国2位で、平成26年に25.3%であった高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は2060年には39.5%まで上がり、2.5人に1人が高齢者となる見込みです。
千葉県の出生数も、昭和48年の8万2,960人をピークに減少し続け、平成26年には4万6,749人とピーク時の56.4%まで減少し、合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の平均数)も昭和60年からずっと全国平均を下回ったままです。
さて、人口減少やそれに伴う人口構成の変化は、道路や下水道、公共交通などの維持を困難化させ、都市や集落も機能低下します。産業も後継者不足により存続困難なものも出てくるでしょう。
特に私が危惧していることは、千葉県の「医療」「福祉」の遅れです。人口に占める高齢者の数が増大し、それを支える生産年齢人口が少なければ、当然ながら支える人たちへの社会保障関連経費の負担は増大します。また今でも医療・福祉・介護人材は不足していますが、その状況は今後さらに厳しいものになると予想されます。
「千葉県地方創生『総合戦略』」では「人口の社会増(他地域からの転入)」、「少子化への挑戦」、「人口減少に対応した県づくり」を目指していますが、今、千葉県は「医療」「福祉」の充実よりも成田空港、アクアライン、圏央道、外環道、北千葉道路などの「インフラ整備」に熱心だと思うのは私だけではないでしょう。
たとえば東京は障害者が支援を求めやすいように「ヘルプマーク」、埼玉は「骨髄バンクドナー補助金制度」、茨城は「障害者等用駐車場利用許可証制度」、神奈川は「UDタクシー導入促進事業」など、近隣の都県は「医療」「福祉」に係る各種制度を提案し、導入していますが、なぜ千葉県は、それらに対して積極的になれないのでしょうか。今後、千葉県の事業の優先順位についても提言をしていく所存です。
平成29年4月16日 野田たけひこ