中公新書『地方消滅』増田寛也著 (元総務相)がベストセラーになっています。本書では、少子高齢化の影響で「人口急減」が起こる数十年後の日本の姿が書かれています。
両親2人に子どもが1人という傾向が大多数であれば、将来人口は半分以下になります。合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの平均数)は2.1以上でなければ人口は減少することになりますが、現在、日本の合計特殊出生率はここ数十年、低位に推移し、2013年は1.43(千葉県は1.33)です。
また生まれる子どもの95%は20~39歳の女性の出産によりますので、この20~39歳の女性(若年女性人口)が人口増減の鍵を握ることになりますが、合計特殊出生率の低下は若年女性人口にも当然ながら影響を及ぼし、若年女性人口も減っています。地方では、就くべき仕事がない等により、生産年齢人口(15~64歳)が東京などの大都市圏に移住せざるを得ない状況で、しかも自然減で高齢者人口も減少しています。国立社会保障・人口問題研究所は、近い将来、千葉県北西部を含む大都市圏等に人口が集中し、大都市圏は高齢化率35%を超える超高齢社会、地方では896以上の自治体が「消滅」すると予測しています。
ちなみに船橋市の2010年の総人口は609,040人、若年女性人口は85,433人、2040年の総人口は565,729人、若年女性人口は59,589人、若年女性人口変化率はマイナス30.3%と予測しています。若年女性人口減少率が50%を超えますと、「消滅可能都市」と判定されますが、長南町のように2010年の総人口は9,073人、若年女性人口は776人、2040年の総人口は4,854人、若年女性人口は217人、若年女性人口変化率がマイナス72・0%で消滅可能都市と判定される基礎自治体は、千葉県の59基礎自治体のうち、実に27自治体に上ります。船橋市は消滅可能都市にはならないものの、75歳以上人口の比率が現在の倍以上となる超高齢社会です。千葉県では船橋、千葉、松戸、市原、成田の5市が該当します。
都市の消滅をいかに食い止めるか、特に人口増減の鍵を握る若年女性人口を対象とする施策として、結婚・妊娠・出産・子育て支援の充実。社会における女性の活躍や登用支援の充実。また、生産年齢人口を対象とする施策として、働く場所の提供・産業誘致・産業開発等が考えられますが、若年女性人口や生産年齢人口を積極的に呼び込む手立ても必要です。
千葉県は冬暖かく夏涼しい海洋性の温暖な気候ですが、この恵まれた自然環境を活かし、農業の保護・育成、特に人口流出を食い止め人口流入を促す施策として「就農支援」(新たに農業を職業として希望する人たちを、募集し、支援すること)は、農業以外に主要産業を持たない消滅可能都市に、特に必要な施策であると考えています。
野田たけひこ