昔から犬は「人間の最良の友」といわれています。猫は人間の文明が生み出す穀物や農業の副産物に引き寄せられるネズミを目当てに、人間の居住地域に頻繁に近づくようになり、ネズミを退治したい人間とネズミを獲物とする猫の利害が一致し、共存関係が生まれました。最近の研究では、猫は自らの意思で家畜化された唯一の動物となったと考えられています。
ちなみに、平成30年4月1日現在における日本の子どもの数(15歳未満人口)1,553万人に対し、犬・猫の推計飼育頭数は、犬が約890万3千頭、猫が964万9千頭、合計 1,855万2千頭で、子どもの数より犬・猫の数の方が約300万も多いという状況です。
また犬・猫を飼う理由の第1位は「生活に癒し・安らぎが欲しかったから」です。団塊の世代の昭和22年(1947年)生まれの人たちが75歳以上の後期高齢者となるのが、3年後の令和4年(2022年)です。この年から夫を亡くし、一人暮らしとなる女性の数が一挙に増えると予測されており、「日本の世帯数の将来推計」によれば、16年後の令和17年(2035年)の日本の一人暮らし世帯は37.2%とされています。そして高齢者が一人暮らしとなり、生活に癒し・安らぎを求め、唯一の家族として犬・猫を飼うというのは納得できることです。
私はこれまで高齢者や障害者等、災害の際、自力で避難することが難しい人たちを無事に避難させる体制づくりや、避難生活においても、家を失い、仕事を失い、これからの人生に不安を抱いている方々が、雨風をしのぐことだけではなく、これから先の未来に気持ちを前向きに持っていけるような、避難所の整備のため、県に数々の提言をしています。さらに家族の一員である犬や猫などの命にも向き合っていきます。
「ペットロス」という言葉があります。家族の一員だからこそ、ペットとの別れは耐え難いものとなり、時に飼い主の寿命を縮めることもあります。避難所の居住スペースでは原則としてペットと同居できません。しかしながら、ペットの受け入れが可能な避難所へ「同行避難」はできます。災害でペットを守ることができるのは飼い主だけです。私は、いかなる命も守るため「同行避難」についての啓発にも力を注ぎます。
令和元年8月18日 野田たけひこ