平成24年度、千葉県における小・中学校の不登校児童生徒数は4,590人でしたが、令和2年度には7,850人と約1・7倍まで増えています。このことから、私は9月県議会の一般質問において、「本県においても※不登校特例校を設置すべきではないか」という旨の質問をしました。
また私は、少子化の影響によって児童生徒数は減っているのに、不登校等の解決すべき諸課題を、通常の教育現場では解決できていないことから、「県内市町村への不登校特例校設置の働きかけや、その際の県の財政支援や人材派遣等、様々な協力体制の検討」するよう県に要望もしています。
不登校となるきっかけのひとつに「いじめ」の問題があります。県の令和3年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によれば、令和2年度、千葉県の「いじめの認知件数」は 40,230件でしたが、令和3年度には、51,478件(前年比11,248件増)でした。この件数は過去最多であり、また全国3位の多さでもあります。
なぜ教育現場では、いじめや不登校等を解決できないのでしょうか。その理由のひとつに、教員の「多忙化」が挙げられます。OECD(経済協力開発機構)の2018年の国際比較では、小学校1クラスあたりの生徒人数は、OECD加盟国の平均が21・1人に対し日本は27・2人、中学校では平均が23・3人に対し32・1人と平均を大きく上回っています。さらに、文科省の「平成28年 教員勤務実態調査」によれば、小学校教員の33・5%、中学校教員の57・7%が週に20時間以上の残業、つまり多くの教員が月80時間以上の過労死ラインを超える時間外労働をしていることがわかりました。(「働き方改革」により、現在はわずかながら改善されています)これは自宅残業を含んでいませんので、家での授業準備等も含めれば、より多くの教員が過労死ラインを超えた残業をしていることになります。しかも残業代はほとんど支給されません。
生徒人数が多い上に長時間労働により教員は、子ども一人ひとりに向き合う時間も、ゆとりもありません。インターネットやスマートフォンの普及で、いじめの形態も多様化し見えにくくなっています。これではいじめや不登校等の諸課題を解決できるわけがありません。
そして、この過酷な労働環境が教員の「なり手不足」を招き、それに伴い優秀な学生が教員を目指さなくなったことにより教員の「質の低下」が問題となっています。
ちなみに、千葉県の公立の小学校、中学校、高校、特別支援学校における教員不足についてですが、昨年は135人の不足、今年は201人の不足となっており、この教員不足に県も頭を抱えています。
教員の労働環境や待遇の改善等、「働き方改革」を進めなくては、いじめや不登校等の諸課題も解決できません。
※不登校特例校…学習指導要領の内容などにとらわれずに児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を実施し、
フリースクールとは異なり元の学校から転校でき、通常と同じ卒業資格が得られる学校