先月の26日、文部科学省が平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の概要を公表しました。それによりますと千葉県内の全公立小・中・高等学校、特別支援学校におけるいじめの認知件数は29,376件で前年の25,811件より3,565件、前年度比14%の増加という調査結果でした。また、この調査結果によれば千葉県のいじめの認知件数は2年連続で全国ワースト1位でもあります。
さて全国ワースト1位であることをどうとらえるかですが、滋賀県大津市の中2いじめ自殺事件では、自殺した生徒からいじめの相談があり、この生徒への暴力行為も報告されていたにもかかわらず、担任や学校、教育委員会は適切な対応を取らず、当初、自殺の原因はいじめではなく「家庭環境が問題」と、いじめの事実を隠そうとしました。この事件が誘因となり成立したのが「いじめ防止対策推進法」です。この法律では「深刻さや継続性にかかわりなく、被害者が苦痛と感じるものすべて」をいじめと定義し、それまでいじめと認知されなかったものもいじめと認知するよう学校や教育委員会に求め、いじめ問題により積極的に対応しようとしています。そして千葉県教育委員会は法の趣旨を踏まえ、軽微ないじめでも早期に把握し、積極的に認知しようとしていますので、全国ワースト1位というのも、埋もれたいじめを掘り起こそうとする、その努力の表れという側面もあります。
また昨年公表された「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」では、岩手県教育委員会から文科省に報告された県内のいじめの認知件数の中に、岩手県矢巾町の男子生徒がいじめを苦に自殺した事案が含まれていなかったことから、文科省は全国に異例の再調査を命じ、その結果、全国のいじめの認知件数が前回の集計から約3万件も上乗せされるということもありました。そして今、文科省では人口に比して、いじめの認知件数の報告が少ない県の調査を進めているとも聞いています。
私も県内の生徒・児童数に比していじめの認知件数の少ない学校、地域の調査を進めようと考えています。いじめで悩む子どもの話を真剣に受け止め、子どもといっしょに解決の道を探るのが基本ですから、いじめの認知件数が少ないのは怠慢であるという側面もあるかもしれません。
平成28年11月6日 野田たけひこ