いじめをなくす その3

10月28日、文部科学省は平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の概要を公表しまた。この調査結果を受けて、文科省のいじめ防止対策協議会は11月2日、「いじめ防止対策推進法の施行状況に関する議論の取りまとめ」を公表しました。それによりますと、いじめの認知件数に係る都道府県格差が約30倍であることや、いじめの認知件数が0件の学校が全体の43.5%にも上ることを問題視し、文科省は、いじめの認知件数が低い都道府県等に対し、今後、個別に確認・指導する方針だとのことです。
県内の地域においても同様に認知件数に格差があると思われます。また大規模校にもかかわらず、いじめの認知件数が0という学校や、児童・生徒数に比していじめの認知件数の少ない学校もあると聞いています。これは「いじめの定義」(深刻さや継続性にかかわりなく、被害者が苦痛と感じるものすべてをいじめと定義するようになりました)が学校現場へ十分に浸透していないことや、いじめの認知件数が多いことがマイナス評価につながると考える教職員が少なからずいるということです。いじめをいじめとしてしっかり認知することが、いじめ防止対策の基本です。私は、県の「学校いじめ防止基本方針」や、いじめの定義等を現場に周知徹底するつもりです。
 また「いじめ防止対策推進法の施行状況に関する議論の取りまとめ」には「いじめが解消に至っていないにも関わらず、謝罪をもって解消とし、支援や見守りを終了するケースがある」「いじめの加害者に対する出席停止措置はほとんど行われず、必要な場合であっても教育委員会が躊躇するケースが生じている」等の記述もあり、いじめへの対応が不十分な実態が指摘されています。
いじめへの対応を中途半端な形で終わらせず、いじめ被害者が安心して学校に通える環境を整えるには、いじめ加害者が、いじめ被害者と接触できないようにし、別の場所で教育を受けさせることも必要です。よくある話で、いじめ被害者が担任から「教室に来られないなら、保健室でもいいから、学校に来なさい。」と言われますが、そもそも、いじめ加害者と、いじめで苦しんでいるのに、救いの手を差し伸べなかった同級生のいる教室に、いじめ被害者が行きたいと思えるでしょうか。
 いじめ防止対策推進法第23条の4に「学校は、前項の場合において必要があると認めるときは、いじめを行った児童等についていじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講ずるものとする」とあります。いじめ被害者の不安を解消し、その心に寄り添うには、この規定を現場で積極的に適用すべきだと県教育委員会に提言していく所存です。

平成28年11月20日     野田たけひこ