先週お配りした「県政改革 いじめをなくす その4」で、金沢市教育委員会が今年度、市立小・中・高校の全児童・生徒約3万5千人を対象に実施した、いじめに関するアンケートについてお伝えしました。
このアンケートではいじめを受けた時の相談先と、その理由についても尋ねています。その結果は、「誰にも相談しない」が小学生22.2%、中学生28.7%で、小学生の最多は「迷惑をかけたくない」が43.0%、中学生の最多は「どうせ解決しない」が47.9%で、中学生になると諦める生徒の割合が増えています。千葉県でもおそらく同じような結果が出るのではないかと思われます。
今、教育現場ではいじめ防止のための啓発活動が盛んに行われています。千葉県でも、児童・生徒に『いじめ防止啓発カード』『児童生徒向け啓発リーフレット』を、保護者には『保護者向けいじめ防止啓発リーフレット』を、教職員には『教職員向けいじめ防止指導資料集』などを多数配布し、啓発活動や研修会を盛んに実施しています。
それなのに、なぜ多くの子ども達は、いじめを受けても「迷惑をかけたくない」「どうせ解決しない」と思い、誰にも相談しないのでしょうか。金沢市のアンケートの結果からは、子どもがいじめを受けていることを親に告白し、そのことが親から先生方や学校に伝わっても、先生方や学校はいじめを解決できず、親は子どものことを思い嘆き悲しむだけだという、子どもの「教育現場の解決能力への不信感」と、「親の悲しむ姿を見たくない」という親への愛情が読み取れます。そして子ども達は、誰にも相談せず、自分にもいじめられる原因があるのではないかと思い悩み、自分を責め、いじめにひたすら耐えるという辛く苦しい日々を送らなければならないというのが現状です。
先生方や学校が、いじめ防止のための啓発をいくら増やしても、いじめ加害者はそれに耳を傾けず、いじめていたことがばれたらとりあえず謝罪はする。しかし心からは反省していない。そして、いじめ被害者がいじめを相談したことで、以前よりいじめがエスカレートすることもあります。
やはり、先生や学校が子ども達からのいじめ解決能力への信頼を得るためには、いじめ加害者への『いじめ防止対策推進法第23条』の「教室以外の場所での学習」や『いじめ防止対策推進法第25条』の「出席停止措置」等を教育現場で積極的に適応すべきではないでしょうか。
また、人の苦痛や悲しみが理解できない加害者の、心の闇を除く教育やカウンセリングの充実も必要だと私は考えています。
平成29年3月5日 野田たけひこ