いじめをなくす

平成23年、滋賀県大津市の中学2年生の男子生徒がいじめにより、自らの命を絶ちました。事件のあった学校の全校生徒へのアンケートによれば、「トイレで殴られていた」「廊下でおなかを蹴られていた」「鉢巻きで首を絞められていた」「体育大会で集団リンチのようなものにあっていた」「万引きをさせられていた」「おまえの家族全員死ねと言われていた」「蜂の死骸を食べさせられそうになっていた」「顔に落書きされていた」「自殺の練習をさせられていた」とのことです。またいじめた複数の子どもは、そのアンケートで「死んでくれて嬉しい」「死んだって聞いて笑った」と書きました。
 この事件をきっかけに平成25年、「いじめ防止対策推進法」が国会で成立しました。この法律では「深刻さや継続性にかかわりなく、被害者が苦痛と感じるものすべて」をいじめとし、それまでいじめと見なされなかったものもいじめとしてとらえ、いじめ問題に、より積極的に対応しようとしました。また、いじめ防止等の措置を実効的に行うため、複数の教職員、心理・福祉の専門家等により構成される組織「いじめ対策委員会」が各学校に常設されることになりました。そして、いじめが犯罪行為だと判断される時は所轄警察署と連携することも定められました。この警察との連携ですが、「いじめにより生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いのあるもの」、「いじめにより相当期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いのあるもの」(重大事態)の際には、ただちに警察に通報しなければなりません。重大事態とは、夢や希望に満ちあふれ、人生で最も輝いているべき時期に、人生に絶望し、自らの命を絶とうと思うほど追い込まれた事態です。

 千葉県でも「学校いじめ防止基本方針」が県内の全ての公立学校で策定され、いじめ対策委員会も設置する等、様々な施策を講じてはいます。それなりに努力はしているものの、県内の公立学校におけるいじめの重大事態の件数は昨年度、県立学校2件、市町村立学校6件ありました。そして、重大事態として認知されていない、あるいは重大事態には至らないが、いじめに苦しんでいる子どもの数は、おそらく相当数にのぼることでしょう。今年は法の見直しの目途となる法の施行から3年めです。

 いじめ防止のための施策、いじめを受けた子どもの心のケア等はもちろんですが、いじめた子どもが、いじめを受けた子どもと接触できないようにし、別の場所で教育を受けるのを徹底させること(それがなければいじめを受けた子どもは安心して学校に通えません)、いじめた子どもへの情緒教育等が充実しているかなどについても、県・文教委員会の中で検証、質疑しようと考えています。

平成28年10月9日        野田たけひこ