悲しいことに、夏休みが明けると自らの命を絶つ子どもの数が増えます。自らの命を絶つに至った理由として、学業不振等もありますが、いじめにあっていて「学校に戻ること」のプレッシャーに耐えられなくなったりする起因のものも多くあります。
そして今、書店ではタレントの中川翔子さんが書いた「死ぬんじゃねーぞ!」=いじめられている君はゼッタイ悪くない=という本がベストセラーの第1位になっています。
さて、「いじめ防止対策推進法」第23条では「学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び 児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実 があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。」4項に「学校は、前項の場合において必要があると認めるときは、いじめを行った児童等についていじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講ずるものとする」とあります。『いじめ被害者の不安を解消し、その心に寄り添うには、この規定を現場で積極的に適用すべきだ』と、私は何年も県文教委員会等で提言し続けていますが、この法がいじめ加害者に適用されることはまずありません。
また「学校教育法」第35条では「市町村の教育委員会は、次に揚げる行為の1又は2以上を繰り返し行う等性行不良であって他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる」とし、1項に「他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為」と規定されていますが、一昨年の平成29年度、この法の適用により、いじめ加害者が出席停止となったのは全国で0件でした。
往々にして、いじめ被害者は担任から「教室に来られないなら、保健室でもいいから、学校に来なさい」と言われますが、そもそも、いじめ加害者や、いじめで苦しんでいるのに、救いの手を差し伸べなかった同級生のいる教室に、いじめ被害者が行きたいと思えるでしょうか。
自ら死を選択しなければならないほど追い詰められるのであれば、無理して学校に行かなくてもいい。しかしながら、他人の学ぶ権利を妨害するもの(いじめ加害者)がいつも通りに学校に通うことができて、学ぶ権利を妨害されたもの(いじめ被害者)が学校に通えなくなるのは、どう考えても理不尽です。
私はいじめをなくすべく、教育現場において「いじめ防止対策推進法」第23条の4や「学校教育法」第35条の1を積極的に適用するよう、これからも提言していく所存です。
令和元年9月8日 野田たけひこ