ふるさととしての千葉県

新たに農業を職業として希望する人たちを、市の内外を問わず募集し、支援する「新規就農支援事業」については、以前お配りした「千葉県の農業を考える」でもふれさせて頂きましたが、千葉県の農業就業者の平均年齢は64.8歳で、農業後継者比率は53.5%(全国37位)です。そして、千葉県の農業就業者の平均年齢は毎年上がり続け、農業後継者比率は毎年下がり続けるという、深刻な高齢化と後継者不在の問題に直面しています。そして新規就農支援事業を現在、国と県をはじめ千葉市、市原市、柏市、我孫子市等、千葉県内でも16を超える自治体が独自に実施していますが、船橋市には新規就農支援事業はありません。現状のままでは、農業は衰退してしまうという危機感から、昨年の12月に開会されました船橋市議会の本会議で、船橋市でも実施すべきという提案をしました。それに対する行政の答弁は、県内各自治体の新規就農支援事業を調査し研究する旨のものでしたが、農家の平均年齢を考えると早期対応が求められます。

また、千葉県の半数以上の市町村は少子高齢化の影響で、今後自治体として維持できずに消滅する恐れがあります。そして、それらの市町村における主要産業は農業ですから、市町村を維持し続けるためにも人口流出を食い止めて人口流入を促す施策として新規就農支援事業に力を注がなければなりません。

さて、ふるさと暮らしを希望する都市住民と地方自治体のマッチングを支援するNPO「ふるさと回帰支援センター」というところがあり、毎年、移住先人気ランキングを発表しています。それによりますと2011年の第1位は長野県、千葉県は第3位。2012年の第1位はまた長野県、千葉県は第5位に後退。2013年の第1位はまたまた長野県、千葉県は何とランク外になってしまいました。「ふるさと回帰支援センター」によりますと、長野県は定期的にセミナーを開催して着実に希望者を伸ばしているそうです。

温暖な気候と豊かな大地に恵まれ、全国有数の農業県である千葉県。成田空港や良好な港湾を持ち世界とも近い千葉県。千葉県のセールスポイントはたくさんありますので、人を受け入れられる制度づくりとともに、千葉県の魅力を積極的にPRすることにも、力を注ぐ必要があります。千葉県をふるさととする人を、増やすための努力は、農業を衰退から救う道、市町村を維持する道でもあります。