前回の「県政改革」では、顧客や取引先という立場の優位性をタテに悪質な要求や理不尽なクレーム(迷惑行為)である「カスタマーハラスメント」について取り上げました。
まずは、食品や流通等の様々な産業で働く仲間で組織されている労働組合のUAゼンセンが、サービス業に従事している所属組合員を対象に実施した「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査結果」から、その実例を挙げさせて頂きます。
調査結果には「バカ、死ね、辞めろ!と怒鳴られた」「3時間説教され続けた」「包丁を顔に近づけられた」「土下座での謝罪を要求された」といった、耳目を疑うような迷惑行為が列挙されています。
そして、UAゼンセンの令和2年の調査によると、直近2年以内に迷惑行為の被害にあったとの回答は56・7%であり、その中でコロナ禍の影響と考えられるとの回答は35・9%でした。
そのコロナ禍の真っ只中の令和3年1月に私が窓口となり、UAゼンセンは当時の森田健作知事に対して「新型コロナウイルス感染症対策に関する要請」を県に提出しました。
その要請では、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、「感染予防対策に協力的でないお客様がいる」「カスタマーハラスメント(悪質クレーム)が増えている」「医療や介護従事者が人手不足により労働負荷が高まり、心身の不調をきたしている」「会社の経営が厳しく、今後の雇用が心配である」等、不安を訴える声が多く寄せられています。そのため、「エッセンシャルワーカーを含めた、すべての労働者が安全で健康的に安心して就業が続けられるよう、感染防止策のさらなる徹底や雇用維持、生活支援策の強化をお願いする」という内容のものでした。
それに基づいて、様々な要請がありました。その中には「コロナ禍で急増するカスタマーハラスメント(悪質クレーム)について、顧客に対する倫理的な消費行動を求める対策、労働施策総合推進法に基づく対策、事業場への警察巡回の強化、警備員の増員や周知広告のための助成等、対策を強化すること」という一文も含まれていました。
今年5月8日から、新型コロナウイルス感染症は、感染症法上での位置づけが「5類感染症」に変更され、感染防止対策は個人や事業者の判断に委ねられ、自主的な取組が基本となりました。
しかしながら、カスタマーハラスメントは一向に減っていないようです。最近でも「ファミレスで店員がマスクしていないことにケチをつけ、個人の判断だと諭されたら、態度が悪い、辞めさせろと大声で絡んだ」といった報道がありました。
そのようなことから、私は6月定例県議会の一般質問で、コロナ禍の真っ只中、UAゼンセンが提出した要請(文)に、これまで県がどのように対応してきたのか検証する意向です。