カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先という立場の優位性を盾にして悪質な要求や理不尽なクレームを行う行為のことです。
日本最大の産業別労働組合であるUAゼンセンは、繊維・衣料、医療・化粧品、化学・エネルギー、食品、流通、レジャー・サービス、外食など、国民生活に関連する産業の労働者が結集して組織されています。UAゼンセンが平成29年に所属組合員を対象に実施した「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査結果」によると、
・商品の場所を案内したら、遠回りさせられたと怒りだし、「バカ、死ね。辞めろ!」と怒鳴
られた。
・商品の在庫を尋ねられ、在庫が無い旨をお伝えしたところ、「売る気がないんか、私が店長だったらお前なんかクビにするぞ」と延々怒
られた。
・惣菜の価格が間違っていると言われ確認に行こうとしたら、待たせるなと怒鳴られ3時間説教され続けた。
・お客様が購入した包丁の切れ味が悪いとのことで返品対応した際、「高い商品買ったのに研いでも切れない」と、その包丁をむきだしで
こちらの顔まで近づけてきた。
・商品不良のため返金を実施した際、丁寧に謝罪しても納得されず、土下座での謝罪を要求されたなど、悲痛な声が寄せられています。
同組合が令和2年10月に公表した同調査結果によると、直近2年以内に迷惑行為の被害にあったとの回答は56・7%であり、その中で新型コロナウィルス感染症禍の影響と考えられるとの回答は35・9%でした。
また、同調査における「迷惑行為のきっかけとなった具体的な理由」として、「顧客の不満のはけ口・嫌がらせ」が33・1%、「消費者の勘違い」が15・2%等、消費者側に問題がある思われる回答が多かったと報告されています。
そして、「迷惑行為をしていた顧客の性別 」では、男性74・8%、女性23・4%と、男性の方が女性よりも多いという結果です。また、「迷惑行為をしていた顧客の推定年齢 」では、50歳代が30・8%と最も多く、次いで60歳代28・0%という結果でした。
厚労省は今年2月に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公表しましたが、残念ながら、カスタマーハラスメント防止に係る法整備は進んでいません。
また、企業が迷惑行為に対する対策を実施しているかについての調査結果では「特に対策がされていない」という回答が43・4%と最も多かったことから、まずは企業に対して、防止策の策定を促す必要があります。
私は6月定例県議会に登壇する予定となっています。カスタマーハラスメント防止策についても取り上げようと考えています。