現在、生涯未婚である可能性が高い人の割合は、男性で4人に1人、女性で6人に1人とされています。そして、この割合は、今後も増え続け、2040年には男性のほぼ3人に1人、女性の5人に1人が生涯未婚になると推計されています。生涯未婚である理由の第1位は「出会いがないから」ですが、「経済的な理由」により、なかなか結婚に至らないというのも現実です。国の労働力調査特別調査によれば、結婚適齢期(25~34歳)の男性の14・4%の人が非正規雇用であり、国の就業構造基本調査によれば、(25~34歳)の独身男性の約半分は年収300万円以下です。これでは、結婚したとしても収入面で子どもを持つのが難しいのが現状です。
日本の少子化対策として、「結婚生活支援事業」がありますが、【夫婦の年齢が29歳以下】【夫婦の所得を合わせて400万円未満】等々の要件を満たして上限60万円、(夫婦の年齢上限は39歳で、その場合は上限30万円)という少なさです。
そして今、注目されているのがハンガリーの少子化対策です。日本の所得税率は超過累進課税により5~45%、消費税率が8%・10%に対して、ハンガリーは所得税率一律15%、消費税は27%と世界最高レベルの高さですが、ハンガリーが少子化対策に充てる年間予算はGDPの5~6%、日本の約6倍と言われています。
『注目されているハンガリーの少子化対策』
・ 結婚奨励金、新婚夫婦は2年間、日本円で月約2,000円の税額控除。妻が妊娠すると妊娠91日目から給付金の支給。
・ 大卒女性は第2子を産めば奨学金残高の5割免除。第3子で全額免除。
・ 3人以上の子どもがいる家庭が新築不動産購入する場合日本円で約420万円支給。
・ 日本円で約420万の無利子ローン、子供を3人産めば、残りは全額返済不要。
・ 子どもを産むごとに所得税を減税、4人産めば、所得税ゼロ。
・ 体外受精の無償化。
・ 満30歳を迎える前に子供を持った母親は、30歳になった年末まで所得税が免除。
・ 親が仕事に復帰した後、家庭で孫の面倒を見る祖父母に育児手当を支給する。
これにより、2021年には20~39歳の女性人口が過去10年間で20%減少したにもかかわらず、出生数が3%増加し、出生率が1・59に上がったそうです。
若いうちに第1子を産むと、第2子・第3子と産む可能性が高くなりますが、誰もが経済的な心配がなく、安心して子どもを産めるようにすることが少子化対策にとっては重要です。
今、日本で議論されている「異次元の少子化対策」では、児童手当の「所得制限を撤廃」するかどうかというものが中心ですが、私はハンガリーのように、これから子どもを持とうとしている新婚夫婦向けに、手厚い補助をすることも必要であると考えています。