現在実施中の「千葉県行財政改革計画・財政健全化計画」では、
- 「高齢化の進展などによる社会保障費の増加」
平成15年の社会保障費は977億円でしたが、平成24年は2,241億円で、今後も増加すると予想されます。 - 「臨時財政対策債(財源不足を補うための借金)の発行による公債費(借りたお金を返すための費用)の増加」
臨時財政対策債の発行額は平成19年には493億円でしたが、昨年は1,848億円で公債費も毎年増加傾向にあります。 - 「大量退職時代における退職手当の負担増」
県職員(知事部局、教員、警察官等)の定年退職者数は、平成17年が709人でしたが、来年は2,072人が予定されており、それに伴い退職金の支払いも増大しています。しかも県職員の年齢構成は50歳代が全体の4割を占めていますので、大量退職時代は当面続きます。
上にあげた3つの理由により、千葉県は厳しい財政運営をしていかなければなりませんが、社会保障費などの必要な県民サービスを提供していくための十分な一般財源が確保されていない、県が自由に使える一般財源がない等の記述があり、国に改善を求める切実な声が行間からあふれています。千葉県が「千葉県行財政改革計画・財政健全化計画」に基づき、事務・事業の見直し、コスト削減等、行財政改革を進めるのは勿論ですが、国の積極的な支援も必要です。
ちなみに千葉県は平成15年、財源不足により財政再建団体(民間企業でいう倒産に近い)へ転落寸前になったことがあります。北海道・夕張市は平成19年に財政再建団体となりましたが、住民曰く「全国最低の行政サービス」「全国最高の市民負担」に耐え忍んでいるとのことです。
民主党政権下、各省庁の激しい抵抗を退け創設された「一括交付金」は地方が自由に使えるお金として自治体から喜ばれた交付金でした。安倍政権となり、残念ながらこの「一括交付金」は廃止されてしまいました。今国会を「地方創生国会」と位置づけているようですが、ならばなぜ地方が存続を求めていた「一括交付金」を廃止したのか理解できません。
全国知事会は10月15日、「地方創生」推進のための提言をまとめましたが、その中でも、5年間で5兆円程度の自治体の判断で柔軟に使える交付金を確保するよう要望し、近くそれを政府に提出するそうです。全国知事会の要望は事実上、「一括交付金」の復活を求めるものであり、それに対して国はどう応えるのか注目しています。
野田たけひこ