東日本大震災では、これまでに3794人の「災害関連死」が認定されています。このうち、復興庁が発生から1年後の2012年に分析した1263人について見ると、約9割が70歳以上の人だったそうです。また、東日本大震災での障がい者の死亡率は健常者の2倍だったとのことです。
千葉県の高齢化率は、令和5年4月1日現在では27・5%で、市町村別に見ると、1位御宿町(52・0%)、2位鋸南町(49・6%)、3位南房総市(47・1%)です。そして、身体者障害者手帳の所有者数は、令和5年3月31日現在で17万7883人です。
大きな災害が発生した際、聴覚障がい者は防災無線など緊急避難を促すアナウンスが聞こえず、何が起こっているのか判断することが難しく、視覚障がい者や車いす使用者は自力で迅速に行動することは容易なことではありません。これは高齢者についても同様です。
避難所においても、高齢者や下肢に障害のある人によっては、トイレは和式か洋式か、多機能トイレはあるのか、段ボールベッドがあるかどうかなどは重要です。そして、発達障害のある人の中には人との距離や空間が必要な人もいます。やっとのことで避難所にたどり着いても、その場で引き返さなければならないことになりかねません。学校や公民館などの公共施設をはじめ、地域の避難所に指定されている施設は、障害者や高齢者、乳幼児や妊産婦の受け入れを配慮した設備を整えた上で、どんな機能が備わっているか、事前に公表し、高齢者や障がい者が災害時に適切な支援を受けながら安全に避難できる環境を整えなければなりません。
また、「災害関連死」については、東日本大震災では「避難所などにおける生活の肉体的・精神的疲労」が最も多く、次いで「避難所などへの移動中の肉体的・精神的疲労」。また、熊本地震では「地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担」が最も多く、次いで「避難生活の肉体的・精神的負担」が大きかったということが要因だそうです。被災者は、避難所への避難から違う場所への2次避難、仮設住宅への避難など、何度も何度も住む場所の生活環境や、一緒に生活する人が変わるなどの社会環境の変化が繰り返し起こり、誰もが生活の揺さぶりを経験します。
そして、1923年に関東大震災が発生し、その後日本は幾多の災害を経験しましたが、平成や令和の時代の避難所でも、学校や公民館で雑魚寝し、冷たい食事で飢えをしのぐ光景が続いています。100年ほど本質的に変わっていない避難所の環境は、早急に改善しなければなりません。
私はこれからも、誰も取り残さないために、災害弱者と呼ばれる乳幼児や妊産婦、高齢者や障害のある人も、どう備え命を守っていくべきか、避難訓練の在り方や災害時の対応方法、災害弱者にも配慮した避難所の環境などについて提言してまいります。