2022年、政府の中央防災会議において、津波で最大約20万人の死者が想定される日本海溝・千島海溝地震が発生した際に、著しい津波災害の恐れがあって対策を特に強化すべき「津波避難対特別強化地域」が決定されました。太平洋側を中心に7道県108市町村が指定されましたが、その中には千葉県銚子市も含まれています。
能登半島地震の発生前の昨年11~12月に共同通信社が実施した調査によると、津波避難対策特別強化地域の108市町村のうち、冬の避難所運営訓練を実施していない自治体が7割近くに及んだという結果でした。千葉県も避難所運営訓練を早急に行い、対策を講じなければなりません。
さて、東日本大震災では、逃げた犬がその後野犬化して問題になったケースがありましたが、能登半島でも今後、迷子の犬・猫が野良化するおそれがあるそうです。そしてペットとの同伴ができないため、避難所に入るのをあきらめて車中泊や壊れた自宅に残った飼い主も多いそうです。
2018年、東日本大震災や熊本地震などを経て環境省は、「人とペットの災害対策ガイドライン」を策定しました。これによるとペットの安全確保は飼い主の責任=「自助」が原則で、飼い主はペットを「同行避難」=つまり置き去りにせず連れて避難することが求められています。ただし、それを避難所が受け入れてくれるとは限らず、その場合は預け先なども自ら確保するよう求められています。
そして、自分たちの愛するペットと安全に「同行避難」ができるように災害時のことを考えておく必要があります。また、ほかの避難者への迷惑にならないように日頃のペットの訓練も必要です。特に「しつけと健康管理」「迷子にならないための対策」「ケージやキャリーバッグに慣れさせる」「ペット用の避難用品や餌などの備蓄品の確保」を心掛けておくことが重要です。仙台市では、平成17年より毎年6月12日に地域の防災訓練を実施し、その際には仙台市獣医師会とボランティアによるペットとの同行避難と動物救護所設営運用訓練も実施されているそうです。
ちなみに、2018年10月ニューヨーク州では「ペット連れの公共交通機関での避難を許可する」という法律が可決されました。当時のアンドリュー・クオモ知事は、「ペットは家族の一員です。避難する際に、ペットを諦めるよう強制されるということは起こるべきではありません」とコメントしています。
30年以内に巨大地震が起こる確率は70%といわれています。私は、家族やペットとの耐え難い別れや被害を最大限に食い止めるため、いつ起きてもおかしくない大災害に対して、「今やるべき備え」、そして「もしものときにとるべき行動」について、これからも提言していく所存です。