九州北部を襲った記録的な豪雨により、お亡くなりになりました方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、被害に遭われた方々には心からお見舞いを申し上げます。
これまでにも私の政策チラシ「県政改革」や「県議会レポート」でたびたび取り上げてきましたが、今後、より本格的となる高齢社会に対応するために、医療・福祉・介護の充実は最優先事項であるが、介護人材が不足し、既に都道府県間、市町村間で介護人材確保のための争奪戦が展開されている旨を皆様にお伝えしてきました。
それを裏付ける記事が7月11日の千葉日報・1面のトップに載りました。要約しますと「介護福祉士を養成する県内11校で、本年度の入学者が定員の約39%に落ち込み、3年前と比べてほぼ半減した。介護福祉士国家試験の県内合格者数は昨年度までの3年間で約4割減少し、介護現場からの離職率も高まっている。雇用情勢の改善に伴って待遇の良い他産業に流れたとみられるが、高齢化が急速に進む中、深刻な人材難が現実味を増している」とのことです。また「介護を受ける可能性が高まる75歳以上の県民は2015年時点で約70万人、2020年に90万人、2025年には108万人にまで増える見通し」、「2015年に厚労省が公表した推計によると、県内の介護職の不足数は2020年に約9千人、2025年には約2万3千人に拡大。」ただ、厚労省のこの推計は介護人材の供給増を前提とした極めて甘い見通しのものですから、介護職の待遇改善などがなされない現状を放置したならば、介護職の不足数はもっと厳しい数字になると私は思っています。
県では「介護福祉士を目指す学生向けに、5年間の県内勤務で返済を免除する奨学金制度」や「介護職の魅力発信事業などに取り組み、また養成校と協議し、より効果的な対策を検討」はしているものの、介護人材不足の抜本的解決策とはなっていません。
なぜ介護人材が不足するのでしょうか。ご承知の通り、介護保険制度は2000年から始まりましたが、3年ごとに保険料や介護報酬の見直しがなされます。そして2年前の2015年の改定では、介護報酬の大幅な引き下げがありました。それは介護現場で働く人たちの給与に直撃しました。国税庁の最新の資料によれば、日本人の平均年収は414万円ですが、介護職の平均年収は約200万円だそうです。
介護の経験のある方にはお分かりいただけるでしょうが、介護の仕事はきつく基本的に24時間体制です。そして人材不足により長時間労働、残業や夜勤が当たり前になっています。これでは介護の仕事に就こうとする人が少なくなるのも当然です。
介護職の賃金水準の向上、職場環境の改善を早急にしなければ、介護を受ける人にもしわ寄せが来ます。誰しもがいずれは介護を受ける立場となります。誰しもが満足のできる介護サービスを受けられるようにするためにも、介護職の待遇改善は早急に必要です。
平成29年7月17日 野田たけひこ