内閣府の資料によれば、日本経済の平均実質成長率は1956~1972年度の高度成長期は平均9.3%、オイルショック後の1973~1990年度は平均4.3%、バブル崩壊後の1991~2016年度は平均0.9%、アベノミクスやオリンピック需要で景気回復しているといわれているものの、ここ5年間の平均実質成長率は1.3%です。そして内閣府、財務省、経企庁、日銀等の将来成長率の目標値はゼロ%台後半から1%としています。つまり国民がどんなに頑張っても、かつての成長は見込めないと、国は考えているということです。
最近の雇用情勢は売り手市場だというものの、1998年から日本の労働市場における非正規雇用の割合は急増し、今や半数近くです。また世帯収入はこの20年間で約2割近く低下し、世帯収入が300万円未満は国民の約33%、400万円未満は約47%です。
OECD加盟国41カ国で働くことについての調査があり、その割合についての我が国の順位は、「私の仕事は失業の心配がない」40位。「私の仕事は収入が多い」36位。「わたしの仕事はおもしろい」39位。「ストレスを感じる」3位。「就労の時刻が決められており、勝手に変えられない」6位。「家の用事、個人的理由で1〜2時間仕事を離れられる」39位、という苦痛に満ちた労働環境で頑張っています。
日本人の美徳のひとつに「勤勉」が挙げられています。二宮尊徳の思想等でも「勤労」と「分度(倹約)」は古くから尊ばれてきました。また、「すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」という条文が日本国憲法第27条にありますが、勤労は本来、人を不幸にしたり、時に死に至らしめるものであってはなりません。しかし、苦痛に満ちた勤労(労働)環境におかれた人たちが他者へやさしさを示す余裕を持つのは難しいことです。
平成28年のクリスマス、12月25日に大手広告会社「電通」の女性社員(24歳)が自らの命を絶った「過労死」が社会問題化しました。本来ならばクリスマスは、24歳の若い女性にとって、家族や友達等と食事や買い物を楽しむ華やかで楽しい日のはずなのに、あまりにも過酷な長時間労働を強いられたこと等により、疲れ果て、追い詰められたのでしょう。
国の言うとおり経済成長がおぼつかないのであれば、苦痛に満ちた勤労(労働)環境におかれた人たちにより政治の光を当て、大多数の日本人の働き方を変え、他者へやさしさを示す余裕を持てるようにするのが政治の役割だと私は思います。
平成30年6月17日 野田たけひこ