今年もまた、昨年同様に新型コロナウイルス感染症対策が国を挙げての最重要課題でした。コロナ下の不況では、解雇が容易な非正規労働の女性たちが失業に追い込まれ、またコロナによる生活不安やストレス、外出自粛で在宅時間が増加し、それがためか、女性へのDVが急増し、また女性の自殺者も急増しました。そのような女性の人権や命の危機を踏まえ、今年の「県政改革」では、男女共同参画社会、共生社会実現に係る提言を例年以上に多く取り上げました。
しかしながら、これは女性のためだけの話ではありません。「世界幸福度ランキング」で1位のフィンランドを始めとする北欧諸国5カ国はすべて、このランキングで上位となっていますが、これらの諸国に共通するのは、高い消費税率にもかかわらず、高齢者、障害者等の福祉が充実し、男女共同参画社会の実現に熱心だということです。そして、北欧諸国に共通する、この「他者への寛容さ」という価値観が、性別、年齢、学歴、職業、病や障害の有無を乗り越え、人々が「幸福」を実感できる社会をつくるための「鍵」であるとするならば、それは、男性にも関わる話です。
もちろん日本の男性が北欧諸国の男性に比べ「他者への寛容さ」が足りないとは思っていません。むしろ日本の男性は、世界的によく「優しい」と言われています。
もし「他者への寛容さ」が「幸福」の「鍵」であるならば、日本の男性には「幸福」を実感できる下地はじゅうぶんできていると言えるかもしれません。
「他者への寛容さ」に係る制度について、たとえばDVですが、日本にも当然ながら、それを防止する制度や相談窓口があり、それは世界的にみても進んだものだと思います。それにもかかわらず、生活不安やストレスを抱えた夫が妻へ暴力を振るうという相談が増えているというのは、県民意識調査で男性の「DVが人権侵害であると認識する人の割合」が減っているという意識の問題なのではないでしょうか。
DVは、被害者である女性を一番不幸にしますが、暴力を振るう男性の悲しみも理解し、それを解決しなければなくならないものだと思います。OECD加盟20カ国の中で「社会的孤立者の割合」が最も高く、定年退職後には家族以外の人と、ほとんど話す機会のない男性が、生きがいをなくし、孤独になるのも防がなくてはなりません。そして私は、そのことも念頭に共生社会実現について語っております。
今年の12月県議会の我が会派の代表質問では、男性の男女共同参画に係る意識の向上、女性の就労支援について等の原稿を担当しました。来年の2月県議会では一般質問で登壇の機会を頂きましたので、引き続き共生社会実現に向けた質問もしたいと考えています。
末筆ながら、今年もまた皆様には大変お世話になりました。また「県政改革」をご高覧下さいましたこと心より御礼申し上げます。来年が皆様にとりまして実り多き年となりますようご祈念申し上げます。良いお年をお迎え下さい。