私のスーツの襟に付けている「オレンジリボン」に対して、「そのリボンは何を意味するものか」と尋ねられることがあります。
「オレンジリボン」は子どもの虐待をなくす運動の象徴であり、オレンジ色は、里親家庭で育った子どもたちが「子どもたちの明るい未来を示す色」として選んだといわれています。おそらく、その胸中には、オレンジのような明るさと暖かさを感じたいという思いがあったのではないかといわれています。
オレンジリボン運動の起源は、平成16(2004)年、栃木県小山市で3歳と4歳になる幼い兄弟が父親の友人から再三にわたって暴行を受けていました。目撃者の通報で、この兄弟は一時保護されるのですが、周囲の諸機関が適切な措置を取らなかったために、再び父親の友人からひどい暴行を受け、瀕死の状態で橋の上から川に投げ込まれ、幼い命を奪われるという痛ましい事件が起こりました。
翌年、栃木県小山市のボランティア団体が、このようなことが二度と起きないようにという願いを込めて、子どもの虐待防止を目指すオレンジリボン運動を始めました。
このオレンジリボン運動が全国的に広がりをみせたこともあり、平成19(2007)年、厚生労働省は毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と位置づけ、全国の様々な地域で、オレンジリボン運動の啓発や、児童虐待防止に係るイベントを実施しています。
さて、千葉県内の児童相談所における虐待相談対応件数ですが、平成26(2014)年に5,959件であったものが、令和3(2021)年には11,870件とほぼ倍に増えています。また船橋市には児童相談所が無く、県市川児童相談所で対応していますが、そこで扱う虐待相談対応件数は、平成26(2014)年に1,189件であったものが、令和元(2018)年には2,335件と5年で倍増しています。その中の約4割は船橋市分です。さらに市の家庭児童相談室で受ける児童虐待相談件数も年々増加傾向にあり、平成18(2006)年度は85 件だったものが令和元(2019)年度には701件と約8.2倍に大きく増加しています。
私は平成18(2006)年に船橋市議会において「船橋市独自に児童相談所を設置すべき」旨の一般質問をしました。当初、これに賛同する人はほとんどいませんでしたが、その後、松戸徹船橋市長のご賛同も頂き、ようやく4年後の令和8(2026)年に船橋市独自の児童相談所が開設されることとなりました。
平成26(2014)年、市原市で生後8カ月の男児が父親の虐待により死亡するという事件や平成31(2019)年に野田市で10歳の女児が父親の虐待により死亡するという事件が起きています。そのことからも船橋市は無論、千葉県全体で児童虐待防止を推進しなければなりません。
皆様におかれましても、「オレンジリボン運動」や「児童相談所全国共通ダイヤル」189(イチハヤク)の啓発にご協力頂ければ幸いです。