「障害者等用駐車区画」とは、施設の出入り口付近などに設置される車イスの乗降に必要な広さを備えた駐車区画で、法律(バリアフリー法)により一定規模以上の公共施設や商業施設等で駐車場を整備する際に、その設置が義務付けられている駐車区画です。そこには車イスの国際シンボルマークが大きくペイントされており、目立つものですので、皆様もスーパー等にお買い物に行かれた際に、ご覧になられていることでしょう。
この駐車区画は、障害者、介護が必要な高齢者、妊産婦、けが人、内部障害などにより歩行が困難なものの、外見からは分かりにくい障害の人など、歩行が困難と認められる人の利用を原則としています。
しかしながら、2014年に一般社団法人「障がい者社会参画支援機構」が千葉県内の市役所や高速道路のパーキングエリア、商業施設で利用実態を調査したところ、利用者の約80%は「健常者」で、障がい者等から「雨の日や土・日曜は特に停められない」「年々停めづらくなってきた」という声が寄せられました。
また内部障がいをお持ちの方々から、障害者等用駐車場を利用した際に、「なぜ、あなたがここに車を停めるの」という冷たい視線を向けられたり、時には非難の言葉を浴びるというような、辛い経験をしたという声が私のもとにも寄せられました。
そして障害者等用駐車区画の適正利用を図るために全国38道府県で導入されているのが「パーキング・パーミット制度」です。この制度は、障害者等用駐車区画を必要としている障がい者等が利用しやすい環境を整備し、その方々に「利用証」を発行することにより、適正利用を図る制度であり、また内部障がい等、外見からは分かりにくい障がいの方々も利用対象者であることを明確にし、内部障がいへの理解を促進させる制度でもあります。制度を導入している多くの地方公共団体間で相互利用協定が締結されているため、自分の居住地域で発行される利用許可証を持っているだけで旅行先でも障害者等用駐車区画を利用することができるなど、制度の利用者にとっては利便性の高いものとなっています。
そのようなことから、私は2016年の2月定例県議会の予算委員会、同年6月定例県議会の一般質問、昨年11月開催の千葉県障害者差別解消支援地域協議会等、様々な機会を通じて、千葉県でもパーキング・パーミット制度を導入するよう働きかけてきました。私のこの思いは、県議会における政党・会派等の垣根を越え、多くの議員の賛同を得るに至りました。
そして本年10月1日の県議会一般質問において、パーキング・パーミット制度導入という思いを同じくする議員の質問に対し、県の執行部は「近年、障害者等用駐車区画の利用対象者に利用証を交付するパーキング・パーミットの導入が全国的に進んでいることから、本県でも、制度の導入について課題を整理するため、他県への視察調査やアンケート調査、関係者からの意見聴取を行ってまいりました。その結果、本制度の導入により、外見では分かりにくい障害者等が駐車場を利用しやすくなること、障害者等用駐車区画についての理解が進み、利用者のマナー向上に資すること、不適正利用の抑止に一定の効果が期待できること、などの利点が認められたところです。パーキング・パーミットには、障害者等用駐車区画の適正利用を促進する上での利点が認められたことから、今後は、制度の早期導入を見据え、検討を進めて参ります」という答弁をしました。
これからも私はパーキング・パーミット制度の周知を図り、利用者のマナー向上を促すことや、駐車場設置者には、障害者等用駐車区画の拡充を働きかける等、今後とも「障害者等用駐車区画」の適正利用の取組を充実させていく所存です。
令和2年10月11日 野田たけひこ