1980年代後半から90年代前半にかけて、日本経済は製造業を中心に大きく成長しました。1989年の企業時価総額世界ランキングのトップ10には、日本企業7社が名を連ねました。
しかしバブル経済がはじけ、アジア諸国が安い労働力と技術の向上を背景に経済成長を始め、日本はその位置を徐々に下げ、巻き返しができないまま現在に至ってます。
そして、2024年1月の企業時価総額世界ランキングトップ10では米国9社が上位を占めています。日本勢ではトップのトヨタが、ようやく35位に入っている状況です。
まずは、平成の30年間で日本がどのようになったのかについて、いくつか事例を挙げさせて頂きます。
・労働者の平均月収…平成9年から平成25年の16年間で約15%も減少(約37万1千円から約31万5千円へ5万6千円の減少)
・共働き世帯…平成元年の783万世帯から平成30年の1,245万世帯へと増加(昭和55年の614万世帯の2倍、女性の社会進出が進んだということもあるが、1番の理由は、共働きをせざるを得ない状況になったこと)
・貯蓄なし…2人以上世帯の3割、単身世帯の5割。
・日本の1人あたりの名目GDP…平成元年には世界4位。平成31年には27位へ下降(IMFが今年以降に公表するデータによると、令和6年の日本のランキングは韓国にも抜かれ、37位になると予測)
・世界の企業時価総額※1 …トップ50社のうち、日本企業は平成元年には32社。平成31年にはトヨタの1社のみ。
・ユニコーン企業※2 …米国369社、中国138社、インド32社、韓国10社、日本5社。
・日本の相対的貧困率…平成30年は15・7%。約7人に1人が相対的貧困。OECD加盟32カ国の中ではワースト8位、主要7カ国の中ではワースト1位。
少子高齢化の時代ですから、子育て支援や高齢者福祉に力を注がなければなりません。しかしながら、失われた30年が過ぎた今、現役世代や将来を担う子どもたちへ、もっと政治の光をあてなければ、日本は平成の時代以上に衰退し、失われた40年、あるいは失われた50年を歩み始めてしまうのではないでしょうか。
ちなみに、OECD加盟31カ国を対象にした調査で、国家予算に占める高齢者向け予算の割合は、日本が約10・5%でフィンランドに次いで第6位ですが、子どもなどの家族や、住宅、失業、労働市場政策等の現役世代向けの予算の割合(教育費は除く)は、日本が約1・8%でトルコ、米国(高校卒業まで原則、教育は無償)の上は行くものの第29位、下から3番目という状況です。
裏金づくりに心血を注ぐ政治をやっている場合ではなく、現役世代のため、分厚い中間層をつくる政策を打ち出すことが必要です。
※1 企業時価総額…「株価×発行済株式数」で計算され、株式市場における企業の規模を示す指標
※2 ユニコーン企業…資産価値10億USドル以上の企業