厚生労働省、総務省、千葉県等が公表している種々の統計資料から千葉県の医療・福祉の危機的状況が読み取れます。
千葉県民の平均年齢は44.3歳ですが、若年者人口が増えない、今の状態が続けば、県民の平均年齢は毎年上がり、20数年後には高齢化率のピークを迎えます。
高齢社会で欠くことのできないものは医療・福祉の充実です。しかし千葉県の現状はどうでしょうか。人口10万人当たりの医師数は全国平均が219.0人なのに対し、千葉県は164.3人、都道府県別順位45番、下から3番目。人口10万人当たりの看護師・準看護師数は全国平均が1030.2人なのに対し、千葉県は710.8人、都道府県別順位45番、下から3番目。人口10万人当たりの病院病床数は全国平均が1238.6床なのに対し、千葉県は915.8床、都道府県別順位44番、下から4番目。老年人口1,000人当たりの介護老人福祉施設(特養)病床数は全国平均が14.4床なのに対し、千葉県は11.0床、都道府県別順位46番、下から2番目。老年人口1人当たりの老人福祉費は全国平均が20万3800円なのに対し、千葉県は15万500円、都道府県別順位47番、なんと最下位です。
医療・福祉現場の人材の育成と確保。病院、高齢者福祉施設等の誘致や設置が急務なのは統計からも明らかです。千葉県も平成21年、県立保健医療大学を開校し、看護師、保健師、助産師、栄養士、歯科衛生士、理学療法士等を養成する等の努力をしていますが、人材の育成の観点からいえば、県内に医学部のある大学は千葉大のみというのは、全国で6番目の620万人以上の人口を擁する県としていかがなものでしょうか。福島県、和歌山県、奈良県等のように県立の医科大学を設置し、医師も養成すべきではないでしょうか。
また、県の病院への対応にも疑問があります。県は「千葉県保健医療計画」を策定し、船橋市を東葛南部保健医療圏(船橋市、市川市、習志野市、八千代市、鎌ヶ谷市、浦安市で構成、人口約172万人)に組み込みました。そして、その計画の中で、船橋市立医療センターを救命救急の基幹病院に指定し、それにより、医療センターは市域を超えた24時間体制で救急医療を行い、地域医療の中心的役割を担うことになりました。しかし、県が医療センターに広域的役割を担わせたのに、船橋市が医療センターへの継続的な財政支援を要望するも、県はこれを頑なに拒否しています。医療センターに広域的役割を担わせるのであれば、船橋市単独で財政負担するのではなく、千葉県も応分の財政支援をすべきでしょう。
野田たけひこ