国連決議に係るBRICS諸国の態度表明について

 BRICS(ブリックス)とは、著しい経済発展を遂げ、「成長する新興国」として位置づけされた国名の頭文字で、Bはブラジル(Brazil)、Rはロシア(Russia)、Iはインド(India)、Cは中国(China)、Sは南アフリカ(South Africa)です。そして、どの国も地下資源に恵まれ、軍事大国です。BRICS5カ国で世界人口の約4割強、世界の国土の約3割、世界の国内総生産(GDP)の約2割を占めています。

 さらにゴールドマン・サックスは、2050年には、国内総生産(GDP)でC中国がアメリカを抜いて世界1位となり、Iインドが3位、Bブラジルが5位、Rロシアが6位になると予測しています。

 ロシアのウクライナ侵略を受けて開催された国連総会で「ロシアに対して軍事行動の即時停止を求める決議案」に対し、BRICS諸国が、どのような態度表明であったかというと、まずBブラジルはボルソナロ大統領がロシア寄りの発言していることや、この戦争における「中立宣言」をしたことなどから、「棄権」にまわるのではと危惧されました。しかしながら、ブラジル外務省が熱心に「賛成」にまわるよう求めたことにより、最終的に「賛成」にまわったという経緯がありました。Rロシアはもちろん「反対」し、Iインド、C中国、S南アフリカの3カ国は「棄権」にまわりました。多くの民主国家がロシアへの経済制裁を決定しましたが、BRICS諸国は、「賛成」にまわったブラジルを含め、ロシアに経済制裁する国はありませんでした。ブラジルと南アフリカは民主国家ですが、それ以外の3カ国は独裁国家です。世界の国々約199カ国のうち、約109カ国は独裁国家で、世界の人口の約71%にもなります。

 2021年9月9日第13回BRICS首脳会議が「BRICS域内の持続性、団結、相互理解のための協力」というテーマで開催され、政治・安全保障について、世界各地の紛争に懸念を表明し、特にアフガニスタンをめぐる情勢については、テロ行為を非難するとともに、平和的手段で問題が解決されるべきとの主張が盛り込まれたそうです。

 私たちは、ロシアのウクライナ侵略に際し、これらBRICS諸国と、我が国が属するG7諸国(フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ 議長国順)や、多くの民主国家との間で、国家の主権、国民の人権などで考え方に違いがあったことを、深く脳裏に焼き付けておくべきではないでしょうか。

 そして私は、民主主義のあり方や外交・安全保障、さらには食糧、資源、環境等、さまざまなことを見直す必要があると考えています。