私は、昨年の12月定例県議会の代表質問において、「ダイバーシティー(多様性の尊重)を推進する条例を制定すべき」だと、知事に問いかけました。
そして県は、多様性の尊重に係る条例の制定を検討し、今月「(仮称)千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」の骨子案が公表されました。しかしながら私は、この骨子案に、いささか不満がありますので、それについて若干述べさせて頂きます。
多様性に係る条例は秋田県が昨年4月、山梨県が今年3月に、それぞれ制定しています。千葉県は当然ながら先行事例として、両県の条例に目を通しているはずです。
秋田県の条例には「差別の禁止」規定があり、そこには「何人も、他人に対して、人種、信条、性別、性的指向(恋愛又は性的な関心の対象となる性別についての指向をいう。)、性自認(自己の性別についての認識をいう。)、社会的身分、門地、職業、年齢、心身の機能の障害、病歴その他の事由」等、秋田県の考える多様性が挙げられており、山梨県も秋田県と、ほぼ同じ記述となっています。
しかしながら、千葉県の骨子案では「年齢、性別、障害の有無、国籍及び文化的背景、性的指向及び性自認など」となっており、秋田県等の先進事例と比べると、人種が国籍及び文化的背景に差し替えられ、信条、社会的身分、門地、職業、病歴が外され、しかも年齢を最初に持ってくるというものになっています。しかも千葉県のものには、禁止規定も設けられていません。
1919年、日本は第一次大戦後のパリ講和会議の国際連盟委員会において、国際連盟の規約に「人種差別撤廃」を明記すべきだと、世界で初めて主張した国です。
そして千葉県は今、福祉・介護人材の確保・定着が厳しい状況にあることを踏まえ外国人介護人材の確保に本格的に取り組んでいます。
そのようなことを踏まえると、千葉県も多様性の規定に「人種」を加え、「差別」禁止も明記すべきではないでしょうか。骨子案に係る不満はたくさんありますが、今回はそのひとつを取り上げさせて頂きました。
多様性を認め合える社会を構築するためには、個人、組織、政府、社会全体が協力し、長期的な取り組みが必要です。その過程においては、対話や協力が欠かせません。
県は今月1日から来月2日まで、ホームページ上でパブリックコメントを実施し、広く県民の皆様からの御意見をお聞きしています。皆様も、ぜひパブリックコメントにご意見をお寄せ下さい。