多様性尊重推進条例の成立

 12月19日、12月定例県議会の最終日に、私が公約に掲げていた「千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」の採決が行われ、賛成多数で成立しました。

 この条例の趣旨には「私たちの社会は、年齢、性別、障害の有無、国籍及び文化的背景性的指向及び性自認など様々な違いがある人々で構成されている」という一文があります。そして、この「国籍及び文化的背景」「性的指向及び性自認」を尊重するか否かが、一つの争点となりました。

 条例案の採決の前に賛成討論と反対討論が行われ、会派を代表して私が賛成討論をしました。傍聴席には条例案に反対する団体が多数おり、彼らの罵声と怒号が飛び交う中、「この条例の制定は、僅かな一歩かもしれません。しかしながら、これは多様な立場、価値観を持つ方々が合意したギリギリの一歩でもあります。立ち止まりや、後戻りではなく、共に一歩前へと前進しましょう」と訴えました。

 この条例案に反対する議員は「女性を自称する男性による女子トイレなどの使用への不安」「外国籍の人による問題の頻発化への懸念」を反対理由としました。

 まず、厚生労働省の公衆浴場における衛生等管理要領によると、性別の基準は外見から判断される性別であり、自認する性別ではありません。そもそも、この条例はそのような女性を不安がらせる行為を認めるものではありません。

 また、私も外国籍の人たちと住民トラブルが千葉県内でも多くあることは承知しています。しかしながら、千葉県は今、高齢者の介護に係る職員不足が深刻な状況となっていることから、外国人介護人材の就業促進に取り組むため、「外国人介護職就業促進事業」に力を入れています。

 そして今後は少子化の影響で、生産年齢人口がさらに減少していくと予想され、様々な分野で外国人が参入しなければ、社会が成り立たなくなる可能性があります。そうであるならば、外国人への差別や偏見をなくし、人がそれぞれに持つ多様性を尊重し、誰しもが生きがいを持って活躍できる社会を築かなければなりません。

 また、この条例案では「人権」「差別禁止」の規定が曖昧であるため、条例案の再提出を求めるという立場から反対という議員もいました。しかしながら、この条例案は、これまで男女共同参画条例を必要ないと主張してきた議員たちを説得し、その議員たちの要望も受け入れた、ギリギリの交渉で合意できたものでもあります。

 もし、条例案が否決され廃案となったならば、21年前の男女共同参画条例の廃案と同様の道をたどり、47都道府県で男女共同参画に関する条例が無い県になり続ける可能性がありました。条例が成立し熊谷知事は、「さまざまな立場の人がその人らしく尊重され、活躍できるフィールドを用意する事が大事。条例の理念を周知啓発し、具体的な施策を行っていきたい。」と話しました。

 ようやくスタートラインに立つことができました。共生社会の実現に向け、これからも、頑張ってまいります。

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