平成28(2016)年、女性が社会や職場で存分に活躍できるようにと、「女性活躍推進法」が施行されました。そして今年の4月には、情報公表の強化等の改正がありました。この法律が制定された目的は、男性中心の社会システムや、これまでの性別による役割分担を見直し、より女性が活躍しやすい環境の実現にあります。
また、この法律の制定には、少子高齢化により、生産年齢人口が減少し、労働現場における働き手不足が深刻になったことや、産業構造の変化で女性労働者の割合の多い、第3次産業従事者が増えたこと、そして、若年層を中心に賃金水準が低下し、生活を支えるために既婚女性が、好むと好まざるにかかわらず、働く必要性に迫られたという背景があります。
総務省の「労働力調査」によりますと、これからバブル景気を迎えようとしていた1980年の、我が国における「共働き世帯」の総数は614万世帯でしたが、2020年には1,240万世帯へと倍増しています。そして今、諸物価が高騰していますから、男女を問わず、職を離れるのは難しい状況となっています。
これまで、女性が職を離れざるを得なくなる機会として、結婚、出産、育児等がありましたが、これらは福利厚生制度の充実、保育所等の増加等によって、改善されつつあります。特に保育士の増員・待遇改善、保育所の増設・充実等は、全国のどこの自治体でも力を入れていることです。
さて、女性が職を離れざるを得なくなる、もうひとつの機会に「小1の壁」があります。これは、子どもの小学校入学を機に、仕事と育児の両立が難しくなることを指す言葉です。そして、現実問題として育児は女性が主に担っている世帯が多いことから、女性の4人に1人が、この「小1の壁」によって、退職や転職せざるを得なくなっているといわれています。
なぜ「小1の壁」によって退職や転職をせざるを得なくなるのかというと、保育所等で預かってもらっていた子どもは、その間の食事や間食、仮眠なども含めて、一日の子どもの生活を全て保育園にお任せすることができ、夜間の延長保育を利用することもできました。しかしながら、子どもが小学校に入学した後は、市町村が運営する学童保育(船橋市は放課後ルーム)に預けることになり、保育園時代よりも子どもを預けられる時間が短くなります。夏休みや冬休みなどの長期休暇も発生し、子どもは学童や家で過ごすことになります。そのため保護者は勤務形態を変えざるを得なくなってしまいます。
また、全国の学童保育登録人数は、令和三年には134万8,275人(前年比3万7,267人増)と増加しています。しかし、施設そのものや職員も不足しています。
子どもが保育所に通っていた時は、親が迎えに行くことができましたが、子どもは小学1年生になったら、夜、学童保育から家まで、ひとりで帰ることになります。親の気持ちを察するのはもちろんのこと、女性が活躍しやすい環境にするためにも、学童保育施設の増設、利用時間の延長等により、「小1の壁」をなくす必要があります。