少子高齢化の進展で、女性が子どもを産み、育てやすい環境や、女性が社会進出し活躍できる環境を整備することは急務となっていますが、支援策の強化以前に社会のコンセンサスが必要です。広島市の女性が妊娠により職場で降格させられたのは、男女雇用機会均等法に違反するとして、勤めていた病院を相手に損害賠償を求めていた訴訟で10月23日、最高裁は一審、二審の判決を棄却し、広島高裁に差し戻すという訴訟がありました。
これは妊娠や出産をきっかけに職場で不当な扱いを受ける、いわゆる「マタニティ・ハラスメント」に対する初の最高裁判断として注目されていました。女性の活躍支援をするという観点から、最高裁の判断は一歩前進と捉えることもできますが、社会はまだ成熟していないと捉えることもできます。古今東西共通して妊娠、出産は慶事ですし、次代の担い手の誕生は社会全体で歓迎し、支援すべきことです。
平成11年、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現を目指すということで「男女共同参画社会基本法」が国において成立し、国の動きを受け、全国の都道府県でも「男女共同参画条例」を制定しましたが、千葉県では平成14年9月の県議会において「千葉県男女共同参画の促進に関する条例案」が審議されるものの、議会で圧倒的多数を占める自民党が難色を示し継続審査となり、その後、廃案となりました。
千葉県では現在も、「男女共同参画条例」は制定されず、47都道府県で「男女共同参画条例」が制定されていない唯一の県です。また平成18年3月の県議会では、県直轄の3箇所の男女共同参画センターを設置する「男女共同参画センター設置管理条例案」が提出されましたが、これも自民党が難色を示し否決されています。
それにより男女共同参画センターが設置できないだけでなく、千葉県女性センターとして、年間約5,000人の相談を受け、配偶者からの暴力の相談等も役割としていた柏市の女性センターまで一時閉鎖される事態となりました。千葉県民として情けないと思いませんか? 千葉県の自民党は器が小さいと思いませんか?
県は「男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現を目指す」理念を早々に条例化すべきです。言うまでもなく社会は男と女で構成されている以上、男女が互いにいたわりあう姿勢が必要です。良妻賢母の専業主婦という生き方も、キャリアウーマンという生き方も、幼稚園と保育園という選択も、それぞれを尊重し、老若男女、障害の有無などお互いの多様性、個性を認める社会でなければなりません。
野田たけひこ