女性の貧困について

前回「子どもの貧困について」、日本の6人に1人の子どもが年収122万円以下の家庭環境にあり、高校を卒業して2人に1人が大学に進学する時代、そのような貧しい家庭環境にいる子どもの大学進学率は、平均を下回り、3人に1人以下という現実をお伝えしました。

今回は「女性の貧困」について取り上げさせて頂きます。4年前の資料ですが、国立社会保障・人口問題研究所が「ひとり暮らしの女性世帯の貧困率は、勤労世代で32%、65歳以上では52%と過半数に及んでいることが明らかになった。また、19歳以下の子供がいる母子世帯の貧困率は57%で、女性が家計を支える世帯に貧困が集中し、貧困者全体に女性が占める割合も57%と、1995年の集計より男女格差が広がっていた」と発表しました。ここでいう貧困とは、厚労省指標の年収114万円以下の年収で生活することを指していますが、要するに「単身女性は3人に1人、母子世帯の約6割が貧困」だということです。

そもそも女性には出産による失職リスクがあり、一度職を離れると再就職、正規採用というのは極めて難しくなります。母子世帯となったのには様々な事情があったのでしょう。離婚、配偶者との死別等、そして母子世帯で幸せになるには多くのハードルを乗り越えねばなりません。身体的に男性より力がなく、また知識等でも男性より数段優れていなければ、女性が男性を抑えて正規採用になるというのは難しいというのが現実で、まして子どもを抱えているとなれば、雇用機会という観点から考えれば明らかにハンディとなるでしょう。母子世帯になること、女性が離婚をして子どもを1人で育てることで、女性や子どもが進学、就労等での「機会格差」、そして職についても「所得格差」からなかなか抜け出せない。そのような格差は是正しなければならないでしょう。

よく「女性の社会参加」「女性の地位向上」等に敏感に反応し、男性本位の主義・主張を押し付け、女性の主張に耳を傾けようとしない人たちがいます。私はこれに違和感を覚えます。またジェンダーフリーと云うそうですが、「男らしさ」「女らしさ」という言葉を人に押し付けてはならないという人たちもいます。父が自衛官で古風な価値観を持ち、息子たちが涙を流すと「男らしくない!」としかられる教育、「女は守れ!」との教育が染みついている私には、そのジェンダーフリーの思想というのにも、違和感を覚えます。要するに、この世の中には男と女しかいなく、困っている女がいるから助けよう、それが男というもんだ。というのが私の背骨になっています。

野田たけひこ