先週の「県政改革」では、妊婦健診予定日(40週)以降の14回を超えた分の妊婦健診については、全国の9割近く(88・7%)の市町村が公費負担をしていないこと、高リスクの妊婦や経済的に困難な家庭に対応すべく、妊婦健診とそれに係る財政措置の拡充をすべき旨を書かせて頂きました。今回は、千葉県の妊婦健診の検査項目に係る課題について取り上げます。
妊婦健診は、切迫早産,妊娠糖尿病,妊娠高血圧症候群,胎盤位置異常,胎児異常(発育遅延,胎位,羊水量 等)、胎児機能不全等を早期に発見し、妊婦や赤ちゃんの健康状態を定期的に確認して妊娠期間中を安心して過ごしてもらうことを目的にしています。
妊娠から出産までの妊婦健診において、医療提供者がより信頼性の高い治療法や診断法を選択する際の参考となるのが日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会の「産婦人科診療ガイドライン」です。
その妊婦健診には、妊娠初期~23週、24週~35週、36週~出産までの期間の中で、奨励レベルA:実施すること等が強く勧められる検査項目(血液型等、B型肝炎抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体、梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体、血算等)と、奨励レベルB:実施すること等が勧められる(子宮頸がん検診、性器クラミジア検査、B群溶血性レンサ球菌検査、血糖、超音波等)、推奨レベルには記載されていない検査項目があります。
厚生労働省が今年3月に公表した「妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について」によると、全国47都道府県のうち30府県はすべての検査を受けることができます。千葉県は54市町村全て奨励レベルA、Bの検査を受けることができます。しかし、推奨レベルに記載されていない検査まで含めると、42の市町村は受けることができますが12の市町村では、その検査を受けることができません。
また、千葉県のホームページ『暮らし・福祉・健康』【妊娠に関する相談について】の中に、「妊娠は病気ではありませんが、(中略)流産・早産を起こすこともありますので、早めに医療機関を受診し、定期的に健診を受けましょう。」と記載されています。しかし、約10ヶ月に及ぶ妊娠生活は、体へ負担やストレスがかかり、お腹の中にいる赤ちゃんを何ヶ月間も心配する日々を送ることになります。また、合併症など大きなトラブルが発生する危険性と常に隣り合わせです。「妊娠は病気ではありませんが、」という文言は違和感を覚え、不必要と感じられます。
少子高齢化が加速する中、高齢者1人を支える現役世代の人数は1960年には11・2人でしたが、1980年には7.4人、2014年には2.4人となりました。そして合計特殊出生率が現状のままに推移した場合、2060年には高齢者1人を現役世代が1人で支える社会となります。
私が、県が主体となった「婚活支援事業」を公約にしたのも、また「妊婦健診」の公費負担の拡大を図っているのも、次世代の社会保障関連に係る負担を少しでも軽減しなければならないとの思いもあるからです。