多くの教職員は、過労死ラインを超える過酷な労働環境の下にいるにもかかわらず、情熱を傾けて、子どもたちの教育にあたっています。千葉県の教職員は、もちろん、そのような立派な方々がほとんどです。
しかし、教職員の中には、その職に留まってはいけない人もいます。千葉県の教職員による「わいせつ行為」は年々増加傾向にあり、その報道が後を絶ちません。
県教育委員会は、今年4月19日、勤務先の学校の女子中学生にわいせつな行為をしたとして、20代の男性教諭、6月14日18歳未満の女性に体を触るなどのわいせつな行為をくり返したとして、公立中学校に勤務していた20代の男性教諭、8月23日18歳未満の女性に対しわいせつな行為を繰り返したとして、公立小学校に勤務していた60代の男性教諭をそれぞれ懲戒免職にしました。
2年前の令和3年、教育職員免許法に特例が設けられ「わいせつ行為で懲戒免職となった教員への免許の再交付について、都道府県教育委員会が可否を判断できる」ようになりました。それにより今年、懲戒免職となった千葉県の教職員が学校で子どもたちと接する機会は、おそらくないでしょう。
しかしながら、先日、複数の女子中学生へのわいせつ行為により逮捕され、懲戒免職となった男性教諭が、塾を経営している話が報道されています。
法務省の「犯罪白書」には、小児わいせつ事件を起こした者の8割以上が「再犯者」となるとの記述があることから、わいせつ行為を犯した人が、再び子どもと接する職に就けるというのは、いかがなものかと考えます。
性犯罪・性暴力に遭った被害者は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症や、自己責任感や罪の意識を感じ、自己価値観を失うこともあるそうです。さらに、信頼していた教員が加害者であることから、信頼関係の構築や維持に困難が生じ、親しい人々との関係にも影響を及ぼし、社会的孤立につながることもあるそうです。心に大きな傷を負い、その傷を一生引きずることから「魂の殺人」と呼ばれています。そのことからも、私は性犯罪・性暴力から、子どもたちの守ることを最優先にすべきと考えます。
イギリスには、子どもの性的被害を防ぐため、性犯罪歴のある人が教育機関や保育施設等で働くことを制限する、DBS「Disclosure and Barring Service」(前歴開示および前歴者就業制限機構)という組織があり、たとえば、18歳未満の子どもに1日2時間以上接する仕事を希望する人は、基準に触れる犯歴がないことがわかる証明書をDBSから取得し、就職希望先に提出することが義務付けられています。
8月23日こども家庭庁は、「日本版DBS」の義務化に向けて有識者会議を開きました。保育所や学校などについては義務化すべきだという意見が多く出され、法案提出を目指し検討を進めているそうです。
私は、子どもたちを性犯罪・性暴力から守るために、日本にもDBSが必要だと考えています。法案の成立に期待したいと思います。