子どもの貧困―フードバンクについて―

平成25年の国民生活基礎調査の結果によると、子供の貧困率は16.3%となっており、6人に1人の子どもが、平均的な所得水準(423万円)の半分以下での生活を余儀なくされています。
県では、「千葉県子どもの貧困対策推進計画」を平成27年12月に策定し、すべての子どもが夢と希望をもって成長していける社会を実現するため、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育をうける機会の均等を図り、生活の支援、保護者の就労支援などと併せて、子どもの貧困対策を総合的に推進することとしています。
昨年の9月から10月にかけて、県内15市町村に住む小学5年生と中学2年生、その保護者、約2万人を対象に「子どもの生活実態調査」を行いました。
その集計では、①低所得(134.6万円未満)②家計のひっ迫(光熱水費や家賃の滞納・食料が買えない等)③子どもの体験や所有物の欠如(レジャー・習い事・誕生日のお祝い・お小遣い等)のうち、2項目以上の該当者を「困窮層」1項目のみの該当者を「周辺層」。いずれの項目にも該当しないのは「一般層」と呼びます。困窮層の割合は小5で6.1%、中2で8.2%。周辺層の割合は、小5で11.4%、中2で13.8%でした。
そして中2の保護者に10年前の暮らし向きを聞くと「苦しかった」と回答した保護者は一般層が18.3%なのに対し、困窮層は55.2%、自身が「15歳の頃の暮らしが苦しかった」と回答した一般層は20.4%なのに対し、困窮層は35.1%と困窮は世代間で連鎖し、また長期化しているという傾向も分かりました。また、生活保護を受けている17歳以下の子どもがいる保護者に対して、「子どもが大人になったとき、貧困の状態になることへの心配はありますか」との設問に対し、82%の保護者が「すごく心配している」又は「心配がある」との意見でした。貧困の連鎖によって、子どもたちの将来が閉ざされることは決してあってはなりません。
そのために私は、地域を基盤とした支援ネットワークの整備と活用が必要だと考えています。皆様は「フードバンク」をご存知でしょうか。フードバンクは、包装の破損や印字ミス、賞味期限が近づいた等の理由で、品質には問題はないにもかかわらず廃棄されてしまう食品・食材を、企業や個人から「銀行」(バンク)のように預かり、支援を求める困窮層や周辺層のご家庭や、その支援団体(子ども食堂など)、福祉施設等に無償で届けるボランティア組織です。たとえばフードバンクに預けられた食品・食材が、困窮層や周辺層のご家庭に届けられることにより、そのご家庭の食費は抑えられ、その抑えられた費用で子どもの文具を買うことができます。皆さまのお宅にもフードバンクに提供しても良いという食品・食材がおありではないでしょうか。食品ロス削減と社会貢献を無理することなく始めてみませんか。お時間がございましたら一度フードバンクを覗いてみて下さい。

令和2年3月1日        野田たけひこ