厚労省によりますと、家庭内で介護されている高齢者が、家族から虐待を受けるという例が後を絶たないそうです。一昨年度、その数は1万7,281件にも上り、調査開始以来、最多を記録しました。
特に、息子から親へ、夫から妻への虐待が多く、男性が介護をする場合、家事に不慣れであることや、地域との繋がりが薄く、孤立しがちなことが要因だとされています。
そして一昨年、家庭内介護で、家族から虐待を受けて亡くなった高齢者の人数は、前年度より10人多い25人にも上り、介護疲れにより、高齢の夫が認知症の妻の首を絞めて殺害する等、痛ましい事件も相次ぎました。これは、誰かに助けを求めることも、悩みを相談することもできず、介護に疲れ果て、精神的に追い込まれて、長年連れ添ってきた妻に手をかけてしまったということです。
また、昨年度の高齢社会白書によりますと、「孤立死」を身近な問題だと感じる高齢者の割合は、34.1%、3人に1人以上で、その割合は一人暮らし世帯ですと、50.8%と2人に1人以上です。
そして、東京23区内における高齢者の孤立死は、平成21年に2,194件であったものが、10年後の令和元年には3,936件とほぼ2倍に増えています。
このような深刻な状況を受け、国も昨年「社会的な孤独・孤立の問題は、新型コロナウイルス感染症の流行が長期化する中で、より一層深刻さを増しており、この問題に対して総合的な対策を政府一体となって早急に推進していく必要がある」とし、孤独・孤立対策担当大臣を新設しています。
「人間関係の貧困」とも言える孤独・孤立は、心身の健康面への深刻な影響や経済的な困窮等の影響も懸念されており、孤独・孤立は命に関わる問題です。内閣府の調査によりますと、高齢者の社会参加は、新たな友人・知人をつくり、健康増進、生きがいづくり等、様々なプラス要因があるとしています。そして、注目すべきは社会参加、社会との繋がりを重視する高齢者は、そうでない高齢者に比べ、生活の満足度が高いということです。
つまり、老老介護における虐待や孤立死を少なくするために、また高齢者の生活の満足度を上げるため、さらには、高齢者が幸福を実感できる社会をつくるためには、高齢男性の社会参加や、社会との繋がりを強化する必要があります。
私は2月25日、県議会の本会議に登壇の機会を頂きましたが、そこで、孤独・孤立対策の一環として、県に高齢男性の社会参加や、社会との繋がりを促すよう求める所存です。